やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

信頼構築2ー豪州へ

信頼構築2ー豪州へ

 

 

(キャンベラ国会議事堂の前で。右から日本マリタイムセンターの中村氏、有川氏、海上保安庁出身山川氏 *ご本人の了解をいただいて掲載しています。今回の出張では豪州国防省、外務省、国境警備局の他外務国防上院議員委員会委員長のラッセル・トラッド議員とも会談してきました。)

 

 ミクロネシア海上保安案件について豪州政府、特にPacific Patrol Boat Program(PPBP)を担当する国防省の"シビリアンパート"とのパイプ作りのため2月23-24日豪州首都、キャンベラを訪問した。

 

 本来、仁義を切っておくべきはずのオーストラリア政府とは若干の情報共有不足から、若干のパーセプションギャップ、そして若干の雑音があった。

 オーストラリアは過去30年近く太平洋島嶼地域に22の警備艇を供与し、Maritime Surveillance Advisor(MSA)と技術者も派遣してきた。PPBPは現在当該地域唯一の海洋監視活動である。

 自分も昨年羽生会長の指示で何度がキャンベラに飛んだ。面会した方たちとはこのブログも利用し、関連情報の共有を継続するなど些細な努力もしてきた。

 

 今回の会合では、こちらが拍子抜けする程、ミクロネシア事業を歓迎。以前は「安全保障になぜNGOが出て来るのか?」などカチンと来る事を言われ、私が運営している太平洋島嶼国の事業はAPEC創設を主導した大平首相の太平洋構想の流れを汲んでいること等、必死で説明したのが嘘のようだ。

 我々がキャンベラまで訪ね、調整ーcoordinationに努力していること、即ち仁義を切ったことを感謝された。そしてこれからの前向きな協力を約束してくれた。

 

 ところで、昨年の会議で喧々諤々とやった豪州外務省の担当者から、ニュージーランドの地震のことを心配いただき、気遣っていただいた。

 「元気でやっているか?」とメール一本、葉書一枚出せる友人が海外にいるか、それが安全保障だ、と稲村公望氏は言う。

 信頼構築には時間がかかる。諦めないで、粘り強くコミュケーションを続ける努力が必要だ。

 

(文責:早川理恵子)