やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

PPBP ーパシフィックパトロールボートプログラム

大阪大学の真山全教授に豪語してしまった件がある。

そして、外務省始め多方面から照会いただいている件でもある。

 

「豪州海軍が展開するパシフィックパトロールボートプログラムーPPBP、豪州海軍より私の方が知ってるんです!」

 

2008年に笹川平和財団がミクロネシア海上保安事業を立上げた際(と言っても私が一人で立ち上げました)、強いリザベーションを示してきたのが豪州政府である。(海保のお兄さんが「予約」と訳していたが、そうじゃないよ)

なぜか?

70年代200海里のEEZ付きで太平洋島嶼国が次々と独立する中で、豪州政府はそのEEZ管理のためにPPBPを立ち上げたのである。そして冷戦終結以降の90年代からは、PPBPだけが広大な太平洋諸島の海洋安全保障の監視機能出あったのだ。

 

PPBPがかれこれ30年経った2008年。ちょうど私がミクロネシアの海洋安全保障に乗り出したとき、豪州海軍はもう辞めたい、お魚追っかけるのは海軍の仕事ではない、と政府にレターを出していた。

 

今でこそ日豪防衛協力は格段に進んでいるが、2008年時点では豪州の対日姿勢は必ずしも良好ではなかった。日清戦争以来の豪州の仮想敵国は日本である。白豪主義は「日本人来てほしくない法」だ。

第一次世界大戦で日本帝国海軍に守ってもらったなんて事実はなかった事に!

当時反日ラッド政権であったことも影響した。

だから、豪州海軍は日本の動きに強いリザベーションを示したのである。(予約じゃないよ)

 

自分たちの30年近い努力が日本に取って代わられる??

そんな事は断じてあってはならない!

信じられない話だが、PPBPは継続する事になったのである。この継続には紆余曲折があって、私はキャンベラでその実情を観察する事ができたのだ。

豪州政府の王立海軍の、そして法執行機関の実態!

最初は批判的だったのが、同情に変わった。

 

PPBP、ほとんど役に立っていない。形を若干変えて継続するがその状況は変わらない。豪州海軍がそのことを一番分かっている。例えば、

豪州海軍、魚のことを知らない。

豪州海軍、13,000人程度しかいない。広大な海境を違法移民から守るだけで精一杯。

豪州海軍のカウンターパートである太平洋島嶼国が機能しない。(人員不足、予算不足、法整備ができていない等)

 

 

今まで書いてきたPPBPについてリストアップして行きたい。

太平洋島嶼国のEEZ管理の実態として2つ目の博論でもできれば議論したい。