やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

オバマ大統領 ラロトンガ条約批准に向け動く

オバマ大統領 ラロトンガ条約批准に向け動く

 オバマ大統領は南太平洋非核条約(通称ラロトンガ条約)批准に向け、議会に働きかけている。

 ラロトンガ条約は1986年に発効。締約国による核爆発装置の製造・取得・所有・管理、自国領域内における核爆発装置の配備・実験等を禁止。公海を含む太平洋への放射性物質の投棄を禁止。

 米国は議定書に署名しているものの批准はしていない。

 昨年ニュージーランドを含む太平洋を訪問した、クリントン国務長官からの提案を受けたオバマ大統領が動いた。

 ラロトンガ条約は1985年ニュージーランド政府が提案し、太平洋島嶼国8カ国の指示を得て作成。1996年米国は署名したものの正式に批准していない。

 米国は1963年に部分的核実験禁止条約締結前106回の核実験を太平洋で実施。フランスは1996年ラロトンガ条約に署名するまでムルロア環礁で核実験を継続した。

 米国が躊躇している背景には海軍の核兵器搭載船の太平洋運航。そして原子力船の運航がある。しかし過去数年の米―NZの安全保障対話が進むにつれこの問題は横に置かれる様になった。

 原子力搭載船、若しくは原子力船の太平洋運航に関しては条約の解釈が分かれるところである。

 米国議会は核不拡散・核軍縮に理解を示してもラロトンガ条約にどれだけ理解を示すか不明。

以上、ABCラジオオーストラリアから抜粋翻訳し、多少説明を加えました。

President Obama wants US to ratify Treaty of Rarotonga

Updated May 4, 2011 16:47:54

 軍事と安全保障を米国に委ねるミクロネシア3国もラロトンガ条約締結国に入らない。

 日本の対太平洋島嶼ODAの一つの柱が核燃料の太平洋上運航に対する島嶼国からの非難対策である。