やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

コロンビア大学マーシャル諸島政府共催「気候変動に関する会議」

コロンビア大学マーシャル諸島政府共催「気候変動に関する会議」

 コロンビア大学マーシャル諸島政府共催の気候変動に関する会議が5月23-25日、ニューヨークのコロンビア大学で開催される。

 200人の専門家が集まる予定。

 島が海面下に沈んだ場合の主権について法的な議論をすることがこの会議のテーマ。

 マーシャル諸島のフィリップ・ミューラー国連大使は、「ある学者は訴訟を提案し、ある学者は新しい条約が必要と、そしてある学者は国境を保護する方法、そして移民と言った提案をしている。」と述べる。

 1、2月の大潮の時は既に島全体が海水に覆われる。この問題はマーシャル諸島だけでなく太平洋島嶼国全体の問題である。

 

 会議ではマーシャル諸島ゼドケア大統領がキーノートスピーチをする。

 以上、Mariana Variety, 2011年5月6日のニュースから抜粋翻訳。

Major climate change meeting at Columbia University this month

FRIDAY, MAY 06, 2011 12:47AM BY GIFF JOHNSON - FOR VARIETY

<コメント>

 原子力発電を後押ししたのがこの気候変動問題でしたね。

 気候変動があるかないか、原因は明確ではなくても島の脆弱性は変わりません。

 国境がない時代、島の人々は危険を冒しながらも海を越え自由に移動、植民できました。しかし、今は「国家」「国境」に縛られて、パスポート、ビザ、渡航費がなければ移動できません。太平洋島嶼国の気候変動問題とは実は国際政治の問題なのです。よってこの会議は的を得た内容だと思います。

 ニュージーランド政府はツバルの人口半分以上を既に移民として受け入れています。勿論賛否両論がありますが。

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地質学的時間のなかでは現在の海と海岸、そして山々のたたずまいはほんのひとときの待ち時間にすぎない。山はたえまなく水の寝食を受けて砂粒となって海に運ばれ、姿を消して行くだろう。そして、いつの日かすべての海岸はふたたび水に浸り、いまは町と呼ばれているところも海に還っていくにちがいない。

レイチェル・カーソン『潮風の下で』

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