やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

与那国からの便り

与那国からの便り

 ひさしぶりに与那国の知り合いから連絡があった。

 なにやら外国の学者先生と国境の話しをする事になったらしい。意見を求められた。

 <いい刀は鞘に納めておくもの>

 与那国と言えば自衛隊配備で揺れている。(いた。?)だろうか。今どうなっているのだろう。

 それで早速「海洋安全保障の新秩序構築研究会」で勉強しているmilitary enforcementとlaw enforcementの話しをした。

 自衛隊を否定するわけではないが、一義的には海保の配置が望ましい。『椿三十郎』如く、いい刀は鞘に納めておくものです。

 それに海保は人命救助や海洋環境保護等近隣諸国にも利益になる可能性もあり、緊張ではなく協力関係が生まれるのではないでしょうか?と伝えた。

 これをうまく展開しているのは米国である。沿岸警備隊がまずは前面に出て来るが沿岸警備隊と海軍は常に協力関係にある。ケースに応じて法執行であれば沿岸警備隊が前面に、軍事執行ケースであれば軍隊が前面に出る。

 <幻想の国境>

 ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』はもう忘れられたのであろうか。国家が想像であるというこの本は今こそ重要な気がするし、特に国境を語る時に忘れてはならないように考えてる。

 実際に与那国からは東京よりも台湾の方が距離的にも文化的にも経済的にも近い。

 あまり大きな声では言えないが、台湾の漁師さんが「どなん」を買い求めに頻繁に上陸するそうである。海人にとって数百キロの航海はピクニック感覚だ。

 自衛隊が配置されれば、こんな微笑ましい違法行為もできなくなるのではないだろうか? 国家が想像であれば、国境こそ、その想像ー幻想の象徴的な空間。

 <新案ー愛子様牧場>

 与那国の友人に以前より暖めている案も伝えた。

 与那国には自衛隊より、海保より効果あるソフト抑止力として「愛子様牧場」を作る事だ。

 古事記にある八島*、即ち天皇の支配する地域に沖縄は入っていない。また天皇の日本統一の歴史はソフトパワーを多く使用してきた。

 与那国にはヨナグニウマという人間の背丈ほどの馬がいて子供に人気である。勿論大人も乗れる。ホースセラピーとして障害者にも利用されているという。

 皇室が与那国を訪れれば、セキュリティ万全。観光効果莫大だだろう。

 何よりも愛子様雅子様にとって与那国の自然や文化は大きな癒しになると思う。

 加えて、イギリスの王室を観察していると現在のそして過去の大英帝国支配地を頻繁に訪れている。太平洋の島も未だ英国連邦メンバーが多い。英連邦王国というクイーンエリザベスを元首とする国も多い。

 クイーンエリザベスの夫エディンバラ候フィリップが白保の珊瑚を護るために石垣島に自家用飛行機で来た事はみんな知っているだろうか?

 王室/皇室パワーは侮れない。

古事記の八島は 淡路島、四国、隠岐島、九州、壱岐島対馬佐渡島、本州。