やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

太平洋島サミットが沖縄で開催される意義

太平洋島サミットが沖縄で開催される意義

 来年の太平洋島サミットがせっかく沖縄で開催されるのに、沖縄の役割が積極的に議論されていない事を憂慮する声が、沖縄と太平洋の関係に興味を持つ方達から聞こえて来る。

 2000年の第2回太平洋島サミットは故小渕首相の念願で九州沖縄サミットとして開催された。実際には宮崎で開催されたのだが「九州沖縄」で一括りにしたらしい。そこには第10代沖縄開発庁長官も務めた小渕首相の沖縄への強い思いがあった。

 小渕首相から沖縄開催について笹川陽平会長に相談があり、笹川会長がこれを強く押した、という事を人伝に聞いている。小渕首相は1988年に笹川平和財団が開催した「太平洋島嶼国会議」で竹下首相の祝辞を代読されたのである。

 笹川会長の話しが本当であれば、会長が押した理由は基金にある。

 笹川太平洋島嶼基金は1993年頃から日本の島と太平洋の島を結ぶ - 島と島を結ぶ ー という視点で事業を展開した。佐渡奄美大島八丈島で「島を語る会」を開催。

 日本の多くの離島が本土寄り、本土並みの姿勢を取る中で沖縄は別格であった。ここら辺の経緯は別途書きたい。

 さらに沖縄の中でも、太平洋島嶼国と経済規模が近い、八重山諸島宮古島との交流を進めた。両者は政治的にも文化的にも自律している。こんな小さな島なのに、八重山にも宮古にも独立した新聞が2社あるのである。

 沖縄は太平洋諸島と同じ熱帯気候、珊瑚礁と言った自然環境の共通点だけでなく、安全保障上も米国の軍事戦略の視点に組み込まれている点で共通している。

 南の楽園と軍事的安全保障、というとピンと来ない人が多いかもしれない。

 太平洋ーそこでは戦後、米英仏による核実験が何百回と行われたし、クアジェリンには米軍の迎撃ミサイル基地が今でもある。ミクロネシア3国が米国と締結する自由連合協定は、同国の領土、領空、領海内への米軍のアクセスを認めるものである。

 戦後、沖縄が日本から切り離されていれば、ミクロネシア3国と同じような政治的地位を持つ可能性もあった。

 日本と沖縄の関係、日本と沖縄、太平洋島嶼国の関係、さらには米豪中台を含む関係を東京からの視点だけではなく、多角的に議論必要がある。とそんな事を沖縄の知人友人達とやり取りしていたら、琉球大学から講演に呼んでいただいた。

 テーマは「グローバライゼーションと太平洋島嶼国」。6万年前の人類の移動から始めるつもりだ。氷河期だった当時、今海底に沈んでる沿岸は繋がっており、人類はあっという間にアフリカからパプアニューギニアまで移動してきたのである。

 日時が決まったらこのブログでもお知らせします。