やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

米国政府が日本の一NGOのために予算を確保することを考える

米国政府が日本の一NGOのために予算を確保することを考える

 羽生会長の指示は相変わらず大胆である。

 一昨年開始した「海洋安全保障の新秩序構築研究会」。メンバーは学者を含め非政府、もしくは政府に準じた方達で構成されている。所謂2.0トラック。

 この9月、突然「1.5トラックにすべく米豪政府と調整せよ。」という指示をいただいた。断っておくがいつものことながら指示はこれだけである。

 で早速、米豪政府に連絡すると担当者レベルでは100%前向きな返事。政府内で調整し、連絡をする、という返事をいただいた。

 ところが待てど暮らせど返事がない。

 羽生会長に報告すると「1.5トラックにするのは容易な事ではない。よくやった、お疲れさま。」と妙にヤサシイ。

 よくよく考えて見れば、外国政府が日本の一NGOの開催する会議に政府予算をつけて来る訳ないか。しかも3ヶ月前の通知に対応できるわけがないよな、と自分に言い聞かせていた。ところが先週米国沿岸警備隊から、旅費の予算が通った、との連絡。

 実は米豪とも在京の政府職員が参加する事は即決だった。1.5トラックにしたい、という羽生会長の"Mission:Impossible"は今回も一応クリアしたかな、と納得していたところでもあった。

 夕食会の席も決まっており今頃増えても困る、という事務局のグチを聞き流しながら、それだけ米豪政府がこの研究会、ひいては我々の活動に注目しているんだな、とちょっと感動している。

 勿論米豪政府には笹川会長が今年9月にワシントンで発表したスピーチー日米同盟の新たな位置づけとして非伝統的安全保障分野で海洋問題を課題にすることーも伝えてあるし、今度日本政府の対太平洋島嶼国政策がOcean Diplomacyと日米協力になることも伝えてある。

 海洋安全保障の新秩序構築、1.5トラックの展開はいかに。