やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

琉球大学と笹川太平洋島嶼国基金

琉球大学と笹川太平洋島嶼基金 <やしの実大学から琉球大学へ>  八重山諸島で開催して来た「やしの実大学」は1999年で終了する予定であったが笹川運営委員長(当時)の評価および運営委員会の判断を受けて2004年まで継続することとなった。  この事業が徐々に知られるようになり、琉球大学の大城肇教授も自主的に参加していただいた。大城教授は八重山諸島鳩間島ご出身である。  他方「やしの実大学」八重山実行委員会はボランティアの方々の組織だったので、継続が難局を迎えることも多々あり不安定であった。  そこで、基金運営委員長の渡辺昭夫教授(当時)と琉球大学副学長をされていた嘉数啓教授(当時)が協議をされ、この「やしの実大学」の継続と、さらに2002年に琉球大学内に設置された「アジア太平洋島嶼研究センター」の発展を視野に入れた事業を立ち上げる事となった。 <OPEN – I >  2006年から2008年3年間、笹川太平洋島嶼基金琉球大学が実施する「沖縄太平洋教育ネットワーク・イニシアチブ」(英文にするとOkinawa Pacific Education Network Initiative: OPEN-I)に助成する事となった。  奄美・沖縄の高校生、大学生を対象に下記のテーマで作文コンテストを実施。受賞者をミクロネシアに派遣し、さらにミクロネシアの学生を沖縄に招聘し沖縄でセミナーを開催した。   2006年は「私の島の水問題」 2007年は「島の自然と文化」 2008年は「島の発展と課題」 <太平洋フロンティア外交とアジア太平洋島嶼研究センター>  2002年琉球大学にアジア太平洋島嶼研究センター(CAPIS Canter for Asia Pacific Islands Study)が設立された。設立の背景は初代所長をつとめられた大城常夫教授の記事*に詳しくあるが、予てより沖縄に島嶼研究の役割が期待されていたことと、2000年に開催された島サミットで森元総理が打ち出した「太平洋フロンティア外交」がある。  同外交政策の一環として「特に太平洋等諸国を含む周 辺諸国との協力の実績が蓄積されている沖縄におい て、琉球大学を中心とした研究者交流事業を実施す るなど、積極的に人材育成やネットワーク構築を推進していきたい」と表明し、これがCAPIS設置を後押しした。    *「しまたてい」22号「琉球大学アジア太平洋島嶼研究センター」大城常夫センター長(琉球大学法文学部教授)  一般社団法人 沖縄しまたて協会 2002年7月発行  2000年の島サミットは小渕総理が亡くなられる直前に笹川会長に協力依頼をし、笹川太平洋島嶼基金が積極的に関わった。当時大洋州課課長であった宮島昭夫氏とはいろいろ意見交換をさせていただく機会があった。多分フロンティア外交を作文されたのは宮島課長だと想像する。そこにはハワイの東西センター設置にもつながったケネディ政権の「ニューフロンティア政策」があったとも想像している。当初、沖縄に南北センターを設置する案もあった。何はともあれCAPISは日本政府の外交政策である太平洋フロンティアを背負った組織であったのだ。 <太平洋島サミットが沖縄で開催される意味>  本年5月に第6回島サミットが再び沖縄で開催される。しかし、沖縄を積極的に巻き込もうとする動きはない。外務省が立ち上げを支援したCAPISとは何も連携がないのは残念だ。(今CAPISは学内の各研究を統合し国際沖縄研究所として活動を継続。)  文科省から5年間の支援を受け同研究所に「新しい島嶼学の創造」プロジェクトが昨年より立ち上がった。琉球大学島嶼研究のネットワークを太平洋に拡大し、そのキャパシティを充実させる機会を模索している。  私がこの1月、沖縄に呼んでいただき講演させていただたのはこの事業の一環である。  そして、先週琉球大学副学長の大城肇教授、「新しい島嶼学の創造」コーディネーターの藤田陽子准教授が私の所属するオタゴ大学を訪ねられた。  微力ながら森元総理が提唱した「太平洋フロンティア外交」がきっかけで生まれた沖縄のイニシアチブを引き続きお手伝いさせていただくこととなった。
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(オタゴ大学ヘンリー教授と大城副学長。ヘンリー教授はジャージー島出身で沖縄音楽も研究している。)  沖縄と太平洋の島々。 この視点を早くから開拓した笹川太平洋島嶼基金の役割はまだまだあるようだ。