オーストラリア・ニュージーランドをドイツ軍から守った日本艦船 上が「矢矧」下が「伊吹」
日本がミクロネシア地域を統治する起因となった第一次世界大戦。
あまり知らないし、知られていない。
『第一次世界大戦と日本海軍 ー 外交と軍事との連接』平間洋一著(慶應義塾大学出版会 1998/04)を斜め読みだが拝読。面白い。
イギリスの外務省と海軍省(チャーチル海軍大臣)との錯誤。豪州とイギリスの思惑の違い。
加えて豪州・NZの海軍力の弱さ、単純なコミュニケーションミスが、太平洋における日本の立場を強化させてしまった。
イギリスは、特にチャーチルは日本海軍なしでは太平洋をドイツから守れない、と確信していた。
豪州・NZは日本の参戦に抵抗するが、ドイツ軍艦が近くに来るとなると日本海軍を頼りにし、ヨーロッパ派遣も日本海軍の護衛なしでは怖くて行けない状況だった。
ドイツ海軍は日本海軍が豪州・NZ近辺を護衛している事を感知し、撤退していた。
しかし、日本がミクロネシアに拠点を持った事と、強すぎる日本海軍が豪州・NZに対日脅威感を持たせた。
しかも、この大戦の最中(1918年)ドイツがすごい事をしている。エージェントを使い日本の扇動的ジャーナリスト茅原華山の記事(日本の南進論はオーストラリア、ニュージーランド、タスマニアを指す、と言った内容。)をオーストラリアに持ち込んで政治集会で朗読させ、反日感情、対日警戒心を高めた、とある。(情報戦で日本は負けた?)
日本は日本で、当時の白豪主義に辟易していたようだ。協力すべき両海軍は足の引っ張り合いのような事もしている。豪州海軍の人種差別がきっかけでベルサイユ会議に人種差別撤廃条項を提案した面もありそうだ。
ところで、下記は駐オーストラリア日本国大使のコメント。さすがにネガティブな事は言わない。
http://nichigopress.jp/interview/newyear_spe/51253/
「日豪の最初の軍事協力、即ち1914年に日本の戦艦「伊吹」がエジプトに向かう豪州・ニュージーランド連合軍を護衛してから100周年に当たります。」
護衛した日本海軍に対し、豪州海軍はとんでもない事をしでかしているのである。
1917年11月20日、西オーストラリアにあるフリーマントル入港中の日本軍艦「矢矧」に砲撃したのだ。
日本海軍に助けられたにも拘らずなんて事をする国だ!
原因は白豪主義を掲げたヒューズ政権にある。「鮮明なる排日主義を表現し日本を冷罵」してきたヒューズ首相。その日本海軍に自国が警備されているなんて、国民に公表できなかったらしい。
豪州の日本への警戒心、今もある。
ミクロネシアの海上保安事業、そして安倍首相の太平洋訪問。
豪州との関係調整も重要である。