やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて30年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

安倍首相の太平洋訪問に向けて(9)ブーゲンビル、パース、ブルーム?

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6月11日に開催された第5回日豪外務・防衛閣僚協議。 今までの協議を再確認したような内容で大きな前進は共同プレス発表からは見られない。 それでも日豪の安全保障分野の協力関係が強化された事は歓迎すべき事である。 繰り返すが、豪州海軍1万人強しかいない。太平洋の広大な海洋は冷戦終結以降、米軍が引き上げてしまい無法地帯と化している。 <「アルバニー船団記念式典」への日本の海上自衛隊艦艇の参加> 4月のアボット首相来日の際にも確認された、「アルバニー船団記念式典」への日本の海上自衛隊艦艇の参加が今回の2+2で段取りの確認までされたようだ。当方が今年2月に実施したキャンベラ出張が貢献しているようで嬉しい。今年が日豪軍事協力の百周年であることを豪州の外務省は完全に知らなかったし、防衛省でもそれほど広く知られていなかった。だから得意になって説明してきました。実はこの件豪州にとっては歴史から消したい記憶なのだ。 第一次世界大戦で豪州NZからヨーロッパへ向かう艦船の護衛を日本帝国海軍が担当した。そう、これぞ元祖集団自衛権の行使だった。しかし、白豪主義のオーストラリアは日本の支援を一切国民に公表しなかっただけでなくフリマントルで日本艦船に発砲しているのである。 ANZACは日本軍が守った、という歴史を今改めて、豪NZの人々が認識する事になる。ANZACと日本の歴史観が大きく変わるイベントになるはずである。 参考ブログ 1914 1914 その2 『第一次世界大戦と日本海軍ー外交と軍事との連接』平間洋一著 1914 その3 『第一次世界大戦と日本海軍ー外交と軍事との連接』平間洋一著 <ブーゲンビル問題> 共同プレス発表で再確認されているのがブーゲンビル自治州の支援。これは豪州が日本に頼んだのではないか、と思う。 ブーゲンビルの悲劇は豪州の鉱山会社が招き、それを軍事力で鎮圧しようとしたパプアニューギニア政府の裏に豪州軍の支援があった。ブーゲンビルの人々にとって豪州は歓迎すべき相手では、ない。ブーゲンビルは現在自治州政府を立ち上げ、独立の道を模索しているが10年以上続いた抗争は人々の教育の機会を奪った。まずは人材育成と社会インフラの整備であろう。 ブーゲンビルの友人と話す機会があった。日本政府は既にブーゲンビルに15の橋(*)を設置。以前は数時間かけて移動したところが5分で行けるようになった、と言っていた。 彼女に最初会った時「ポッポッポ、はとポッポ」と歌いだしたのだ。年齢は確認していないが、戦後生まれである事は確実。先の大戦でブーゲンビルに残した日本の記憶は、今も生きているのだ。 * ブーゲンビル海岸幹線橋梁整備計画(DDSV) <ビショップ外相のリーク> 官邸が提供するビデオニュースで安倍総理を表敬した豪州ビショップ外相がポロッと話していた。 「パースにも、また北西部にも来ていただけるようで嬉しいです。」 パースは「アルバニー船団記念式典」への日本の海上自衛隊艦艇の参加が予定されている。またこの4月には小野寺防衛大臣も訪ねている。 北西部とはどこか?ブルームではないか、と思う。 ブルームは1880年頃から日本人が真珠養殖で多く移民した地である。ここに日本人墓地もあり、1983年には日本財団が修復を支援してる。(知らなかった!) そしてその沖合では日本企業が参加する大型の天然ガス開発が行われているのだ。 日豪関係は捕鯨問題を乗り越え、エネルギー安全保障で協力関係が構築できるか、のような気がする。

 

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ブルームの日本人墓地

 

 

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ブルームとダーウィンの沖で開発が進むイクシスLNG事業のイメージhttp://www.inpex.co.jp/ichthys/index.html より