やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

太平洋は広くて狭い

太平洋は広いようで狭い。

オーストラリアの元外交官の知人から、ある国際会議に招かれて顔を出したところ、立命館大学佐藤洋一郎教授がいらした。

佐藤教授は、以前財団が企画した海洋安全保障研究会の委員にお招きし、トンガの海洋安全保障について現地調査などを行っていただいた背景がある。

現在もミクロネシア等調査を続けていらっしゃるという。

さて、佐藤教授の発表を聞く機会を得たのであるが、日本財団笹川平和財団ミクロネシアで活発に海洋安全保障事業を展開している事を触れていただいた。これは大きな反響があって、会議参加者から詳細を聞きたいと声をかけられた。

佐藤教授はご発表の中で、笹川平和財団は南太平洋でも活動を展開する様子です、と言われたのだ。

これはちょっと驚いたのと、関係国、特に豪州の反応が気になったので、当方はオブザーバであったが訂正の発言をさせていただいた。

なんせ、現在豪州は防衛白書作成中で、日本との協力をどうするかが一つの鍵なのである。だから豪州関係者から、「日本は何をする気だ?」「笹川平和財団の次の計画は?」とよく聞かれる。それで羽生会長に確認したばかりなのだ。勿論君子は豹変するので、どうなるかわからないが、今のところ笹川平和財団が現在赤道を超える様子はない。そんなそぶりを見せたら豪州がまた過剰反応を示すであろう。

「佐藤教授に事業を述べていただいたのはありがたいですが、残念ながら今のところ赤道を超える予定はないようです。なぜ我々がミクロネシアを対象としているのか?1)地理的歴史的日本との関係が深い事。2)ミクロネシア大統領サミットの合意で要請があった事。3)ミクロネシアは安全保障の枠組みから日米の協力関係を構築しやすい事。があげられます。」

もう聞かなくなったが昔ココナッツワイヤレス、という表現があった。電話や携帯電話が今のように発展していない時代でも、うわさは人の口を伝わって広い太平洋にあっという間に広まるのだ。