やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ミクロネシア開発銀行の提案

ミクロネシアに関心のない米国>

パラオの多くのプロパティが既に99年契約で、中国人に賃貸されているという。

海洋保護区ではなく、島保護区が必要では?との皮肉を含めたコメントもSNSに出て来る。

ここ数ヶ月で、パラオカジノ法案、チュック州の独立問題など、ミクロネシアを揺るがすさまざまなイベントがあった。

この背景にあるのが、米国との自由連合協定によるグラントが2023年で切れる事。

米国の、特にワシントンD.C.ミクロネシア無関心も加わって、島の人々に大きな不安を与えている。多分米国民の99%が、「ミクロネシアって何?」「自由連合協定って?」という反応ではなかろうか?アンケート調査してみたい。

加えて、タイミングのいい事に中国に膨大な逃がしたいお金、多分官僚の汚職マネーが蠢いているのだ。

<信託基金で大丈夫?>

勿論米国もグラントが切れた後の方策を考えいる。

それが各国に儲けられた信託基金である。

しかしこの基金、予定通りには積み上がっていないし、12.5%という異常な金利で試算している。

また基金運用は投資会社に委託しており、これが年間数億円という経費。

さらに、財政難でこの基金を取り崩す政権まであった。(トリビオン政権)

小国運営と信託基金運営ー燐鉱石で有名なナウルがあるが、儲かったのは信託基金のアドバイザーや運用した豪州、米国人だけ。ナウル国家自体は信託基金で回らず、その後ロシアマフィアのマネロンや豪州政府の難民受け入れで凌いでいる。

ミクロネシア開発銀行>

太平洋25年の私が保証します。

お金を島の人に任せてはいけない。

あまり大きい声では言えないが、助成先にフィリピン人かインド人の会計担当がいなければ助成金は出さない、と心の中で決めている。

島人ー宵越しの金は持たねえし、私のものはあなたのもの、あなたのものは私のもの、という私有財産の価値観が乏しい。ここが良いところでもあるが。。

それで思い出したのが第二代笹川太平洋島嶼基金運営委員長をお願いした渡辺昭夫東京大名誉教授の提案だ。

アジ銀ならぬタイ銀。タイランドではありません。

「太平洋島嶼開発銀行」

ミクロネシア開発銀行」だったかもしれない。

これを伺った時は「先生、そんな事したって島の経済どうにもなりまへん。」と心の中でつぶやいたが、スミスや、新渡戸稲造矢内原忠雄先生の植民地政策を勉強する中で、島嶼国への積極的関与は”あり”だし、島嶼国が必要としているのなら、なおさらやった方がいいのでは?と考えるようになった。

お金の運用も使い方も出資国がしっかり管理する。任せちゃダメよ。

さもなければ美しいパラオは中国人の島になり、カジノとマネロンやタックスヘブンの金融基地になってしまう。海底通信ケーブルがつながれば、なおさら可能である。

それでもイイ?