年明けの寺島常務との面談は奥も幅も広い内容で、改めて貴重なお時間をいただいた事を感謝しています。
その中で、寺島常務が指摘されていた事。
「島の人とやり取りしながら、同時に米豪NZ仏の姿を見る。米豪NZ仏の人たちと太平洋の事を語りながら島の人の立場に立つ。」
広大な太平洋、“主権国家”太平洋島嶼国が管轄していると単純に理解してはいけません。西洋列強の勢力地図が被さっています。
太平洋の島の仕事を始めてすぐに気づいたのがこの事。島嶼国相手に事業をしているようで、実は米豪NZ仏が相手。米豪NZ仏と協議しながら島嶼国の“主権”を意識する。これが奥義。
寺島常務は笹川太平洋島嶼国基金運営委員長であり、改めて太平洋島嶼国の奥義を知る方と仕事ができる事を感謝しました。
<ホノルルに飛ぶ>
年末に産経に掲載された安倍総理の太平洋訪問。誤報でもなく、確実に検討されている様子。
2014年、安倍総理が訪問を検討しているというパラオは米国の裏庭。即ちパラオとの関係という視点と同時に米国との関係をどうするか、という事です。
70年前、ニミッツ司令官が日本から奪い取ったパラオ。冷戦期、米国の戦略的地域として自由連合協定を締結しているパラオ。裏庭であるはずのパラオに米国の大統領どころか国務長官でさえ訪ねたことはないはず。そこに日本の首相が訪ねる、という事に米国はどのような反応を示すか。
2008年に始まったミクロネシア海上保安事業は日米関係をどう動かすかという事です。
羽生会長との面談でこの件を再度確認。急遽ホノルルに飛ぶ事となりました。
<ヒラリー長官、キャンベル国務次官補はどこに?>
ホノルルでは国務省、国防省、国家安全保障省、内務省と主要な連邦政府機関の関係者と会う事ができました。
自分たちの即ち米国の縄張りに、しかもPIFメンバーでもない日本がプレゼンスを示す事に対する多少の反発、抵抗を予想していましたが、面談者全員が安倍総理のパラオPIF出席の可能性、太平洋島嶼国訪問が検討されている事にポジティブな驚きと興奮を示し、積極的に協力したい、との反応を得ました。
このような前向きの反応の背景には、数年前に「太平洋の世紀」とうたって華々しく島嶼国を訪ねたクリントン長官、キャンベル国務次官補の頃から一転し、ケリー長官始めワシントンD.C.の太平洋に対する関心が一機に冷えてしまった現状を懸念するハワイ・グアムで現場を預かる担当者としての期待があるように見受けられました。
昨年のマーシャル諸島で開催されたPIF年次総会では、ケリー長官出席が最終段階で見送られ、主催国マーシャル諸島政府は面子を潰された形になったという裏話も聞けました。
<ダウンアンダーの国へ>
日本の太平洋進出に異常に神経を尖らせる国があります。オーストラリアです。
北太平洋のミクロネシア地域は米国の縄張りのはずですが、PIFメンバー国でもあり太平洋全域にPPBPを展開する豪州は明らかに日本のプレゼンスを気にしています。他方、経済力も軍事力もあらゆる面で力を失いつつある豪州の影響力は、ある方に言わせれば目も覆わんばかりの哀れさである、とのこと。
今キャンベラに向かう途中。タスマン海上空です。