やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

島と海のネット第1回総会報告 その5

会議開催中、多くの方から声をかけていただいた。

このブログのおかげだと思う。改めてこのブログ開設を提案いただいた笹川会長に感謝申し上げたい。

ちなみに昨日60万PVになっていました。

声をかけていただいた中で気になったのが、複数の方から

「日本の太平洋島嶼への関与の背景にあるのはやっぱり中国の脅威への対応なんですか?」

と聞かれた事である。

島サミットに関するメディア記事にはその事が一貫して書かれている。

しかし、公式な書類やコメントには中国のチュの字も出て来ないはずだ。

中国の脅威は確かにある。

それを指摘したのが2008年のPACOMキーティング司令官。

それにマトモに反応したのが、日本では笹川会長だけである。

それをきっかけに笹川平和財団は、羽生会長の指揮の下ミクロネシア海上保安事業を開始した。

しかし、対太平洋島嶼国事業で、「中国の脅威」を重点に持って来ることは本末転倒。

矢内原先生が糾弾した蝋山政道と、即ち侵略思想と同じレベルになってしまう。すなわち、中国の脅威への対応のために島嶼国を支援、支配するのは本末転倒。

笹川平和財団は、戦後初の対太平洋島嶼国政策である倉成ドクトリンを受けて1988年に会議を開催したのである。そして会議終了後、カミセセ•マラ閣下、ソマレ閣下、そして今回の会議に出席したラルフ•レゲンバヌ大臣の尊父セシー•レゲンバヌ閣下、その他首脳を引き連れて北京を訪問した。中国と太平洋島嶼国の関係強化に一役買ったのである。

健全な関係が両国に築かれる事は、日本だけでなく米豪も支持するところだ。

加えて、中国の脅威は否定しないけれど、島嶼国重視、島嶼国に住む人々を重視する事がまずは重要なのだ。即ち彼らが中国とどのような関係を維持したいか。

中国と国交のない国が、太平洋島嶼国には半分ある。その中の一つの大統領から

「リエコ、中国のアプローチは断りきれないほど強烈である。」

と言われた事がある。

軍事基地になりそうな、放っておかれた離島が太平洋には山のようにある。