やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

島と海のネット第1回総会報告 その1

第7回島サミットのサイドイベントとして開催した「第1回島と海ネット総会」が5月25−26日の両日200名以上の内外からの参加者を得て無事終了した。

この島と海ネット事業は、昨年サモアで開催されたSIDS会議で姉妹団体の海洋政策研究財団の寺島常務から声をかけていただいたことがきっかけで関わる事となった。

サモアの会議ではパラオのレメンゲサウ大統領のスピーチをアレンジさせていただいた。

今回の第1回総会ではキリバスのトン大統領のスピーチ、またバヌアツのレゲンバヌ大臣の参加等々事前のアレンジをお手伝いさせていただいた。

<寺島常務と羽生会長>

本番の会議に当方が行く必要もないのではないか、と思ったが兎に角来いという。

TNCの古い知り合いも来るし、元水産庁の宮原さんにも会えるし、それよりも海洋問題の大家、寺島常務から続けて声をかけてもらえる名誉、栄誉はどんな勲章(もらった事はないが)よりも嬉しい。

2008年ミクロネシア海上保安事業を立ち上げる際、羽生会長から「寺島さんは人格者なので訪ねて学びなさい。」とのアドバイスをいただいた。年に2、3回は門を叩かせていただき、事業の進捗も報告させていただいていた。あれから7年。門外漢の当方が海洋問題をどうにか続けられた来れたのは寺島常務のおかげなのだ。

寺島常務と羽生会長、同じ国交省ご出身、同じ東大出身である。

全然タイプが違う。羽生会長は走りながら考えよう、タイプ。

寺島常務は十分な準備と話し合いを重んじるタイプ。

<会議で発表>

島と海ネットは2009年から議論を重ねて来たのである。

しかし、6年の協議期間の中でその流れをフォローしている人は少ない。

オーストラリア人の参加者から

「なんだか、ナイフでモノを切る前に、そのナイフを一生研ぎ続けてているようですねえ。」

という皮肉そのもののコメントもあった。

ほとんど意味のない、ただ存在感だけを示してきた豪州海軍のPPBPを延々30年以上もやっているアンタだけには言われたくない!

会議では事務局側であるにも拘らず、笹川平和財団日本財団ミクロネシア海上保安事業がどれだけ具体的な活動を行っているか、それだけでなく水産庁まで動かして500トン級の取締船派遣までしたこと、加えて笹川会長がオープニングのスピーチで発表した通り、日米豪の新たな海洋管理枠組みに動き出す事を繰り返し聴衆に訴えさせていただいた。

島と海のネット事業は、2つの財団の統合を経て笹川平和財団の事業となったのである。

太平洋島嶼国の活動は笹川平和財団の、太平洋島嶼基金の遺産(勿論プラスの)を嫌でも背負う事になるのではないだろうか。