やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

日本とアイルランドを結ぶ「能」その3

アイルランドと太平洋島嶼国を結ぶタックスヘブン>

お能も、幽霊も、伝説も多分関係のないアイルランドの特徴で、太平洋島嶼国と共通の要素がある。

その名は、タックスヘブン!

Facebook, Google, スタバ等々世界のグローバル企業がアイルランドに会社を置いているのだ。

なぜか?

法人税12.5%!

日本は34.62%!

ダブルアイリッシュ、と呼ばれる節税スキームが下記に説明されている。

「グーグルの節税策 ダブルアイリッシュ、ダッチ・サンドウィッチとは?」

2013年01月22日(火)

http://www.assioma.jp/?p=4985

このアイルランドのタックスヘブンの善し悪しをまとめたのが下記の記事。

んー、税金の事はよくわらない。。

「税で誘致」だけではリスキー/アイルランド

http://globe.asahi.com/feature/side/2015111600001.html

<世界のタックスヘブンの先を行くアイルランド

このアイルランドの租税回避システムは1956年に開始した。太平洋島嶼国のタックスヘブンが1970年からだから、その起原の一つであろう。

現在世界のトップ50の銀行とトップ20の保健会社の約半分がアイルランドに会社を置いている、という。世界の4分の一の 国際債券がアイルランド証券取引所で扱われているのだそうだ。

”How Ireland became an offshore financial centre”

NOVEMBER 11, 2015

http://www.taxjustice.net/2015/11/11/how-ireland-became-an-offshore-financial-centre/

<オブライアンと太平洋島嶼国>

このブログでも紹介した事のある、アイリッシュのビリオネラー、デニス•オブライアン。

アイルランドで一儲けした後、世界の小島嶼国で携帯電話ビジネス「デジセル」を成功させた。

彼がいなければ、パプアニューギニアもフィジも、サモア、トンガ、バヌアツも未だICT格差に悩んでいたであろう。

そのオブライアン氏、住所をマルタに移し節税対策している。

今回のダブリン訪問では彼の事を調べる事はできなかったが、タクシーの運転手さんが、民営化された水道事業に絡む汚職の話を教えてくれた。

アイリッシュはイギリス人から下記のような評価を長年受けてきたのである。

"Irish 'national character'-disorder or violence, filth, laziness, and worst of all, a lack of self-reliance"

(The Irish Famine By Jim Donnelly http://www.bbc.co.uk/history/british/victorians/famine_01.shtml

アイルランドは何のために独立したのであろうか?この質問は太平洋島嶼国にもそのまま当てはまる。

ダブリンの町で15メーターおきくらいに、乞食の姿があった。

これもタクシーの運転手さん曰く、アイルランドの問題ではなくEUの問題。即ちEUの枠組みの中で他国から流れて来た人々である、ということだ。この国の富の格差は拡大するばかりだ。