やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

超党派「国際法に基づくアジアの海洋の安全のために議員連盟 (国際海洋議連)」その2

今週予定している超党派「国際法に基づくアジアの海洋の安全のために議員連盟 (国際海洋議連)」勉強会での発表をリハーサルさせてもらった。聴衆は同志社大学の大学院生である。

 

質問や修正箇所の指摘もたくさんいただいて大変助かった。

その中で、前回の太平洋島サミットでは海洋問題は取り上げられなかったんですか?という質問があった。

(前回?待てよ。確かマグロサミットってブログに書いたな)と思い出し確認すると下記の6項目があった。どれも具体的だ。水産庁の知り合いにフォローできてますか?と聞いたらできていない、と。なんじゃ! これは海洋議連で強調しよう。

 

 

日本もメンバーとなっているWCPFC ー魚も、遠洋の事もわからないアイランダーが仕切ろうとしてメチャクチャのようである。遠洋漁業とは?水産業とは?便宜置籍船やっている島嶼国政府の責任や、オブザーバーの役割(と責任ある行動規範)、そしてマグロの卵の数!

海洋、水産人材育成を太平洋島嶼国のメディアから政府、ビジネスあらゆる分野で展開すべきだ。

 

ところで質問の中で、映画を観ているようです、というコメントをいただいた。太平洋の海を語るには、中国の国家主席、島嶼国の大統領達、世界のセレブ、ビリオネラー、モナコ国王、マネロン、タックスヘブン、麻薬、人身売買 etc. なんでも出て来る。

そうだよね。確かに映画みたい。事実は小説より奇なり、なのです。

 

第7回島サミットの合意内容

9 海洋・漁業

44 首脳は,太平洋が太平洋諸国の繁栄の基盤であることを認識し,海洋資源及び海洋環境の持続可能な開発,管理及び保全に対する統合アプローチの重要性を再確認した。この関連で,首脳は,「海洋:命と未来」に関するパラオ宣言(2014年),パシフィック・オーシャンスケープ枠組み(2010年)及び太平洋島嶼地域海洋政策(2005年)に留意した。首脳は,海洋環境,海洋安全保障,海洋の安全,海洋監視,海洋科学調査・観測及び海洋資源の保全並びに経済成長を促進し,及び生活と食料安全保障を改善するための持続可能な漁業管理等の分野において,二国間及び多国間の協力を一層強化する決意を強調した。

 

45 首脳は,太平洋地域の一部のまぐろ資源の持続可能性が危機にさらされているという最新の漁業資源評価に留意し,公海における協力を含め,中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の枠組みの下で,太平洋諸島フォーラム漁業機関(FFA)及び太平洋共同体事務局(SPC)を含む関係団体の協力を得て,効果的な保存管理措置の策定のために協力を増進することをコミットした。

 

46 首脳は,島嶼国の主要な収入源を損ない,太平洋地域の漁業資源の持続可能性を脅かす違法・無報告・無規制(IUU)漁業に強い懸念を表明した。太平洋の漁業資源の持続的利用から恩恵を受けている国として,首脳は,IUU漁業を根絶するために必要な措置をとるべく緊密に協力するコミットメントを確認した。

 

47 島嶼国の首脳は,日本による漁業関連の支援を評価し,長期的な経済発展を目指して太平洋漁業の活力ある持続可能な管理を向上させるためには,地域機関を通じたものを含む継続的な支援が必要であることを強調した。首脳は,漁業資源の持続可能性の向上やこの地域における日本漁船との間で相互利益となる関係の促進等,日本と島嶼国間の漁業分野における長期的な協力関係の重要性を強調した。

 

48 首脳は,近代的なマグロ漁船の太平洋船籍船への導入を含め,自国の海洋資源を適切に開発する島嶼国の権利を認識した。島嶼国の首脳は,日本と島嶼国間で漁業分野における協力関係をさぐる必要性を強調した。

 

49 首脳は,太平洋における平和と安全の重要性を改めて述べ,国連海洋法条約及び関連実施協定を含む,普遍的に認められている国際法に従い,海洋秩序が維持されるべきことを再確認した。首脳は,自制的行動をとり,武力による威嚇又は武力の行使に訴えることなく国際紛争を平和的に解決することの重要性を強調し,海洋の安全及び海洋安全保障の分野において協力を促進する意図を再確認した。