やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

馬鹿の一つ覚え ー 水産庁叩き(4)

勝川さんと壱岐の漁師さんたちが主張しているのは、卵を産みに来た成魚は年寄り母さんであろうと穫らないでおこう、という案だと当方は理解しています。日本の沿岸はクロマグロの産卵地なのだ。

参考:将来懸念、管理強化訴え 漁業者ら「マグロサミット」500人討論 2016.6.14 http://www.sankeibiz.jp/macro/news/160614/mca1606140500004-n1.htm

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参考:太平洋クロマグロ産卵場調査結果について 平成26年5月16日 http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/sigen/pdf/tenpfail140514.pdf

 

ところが、水産庁が出す"科学的データ"によると、確かに親の数が増えれば卵の数は増えるが、卵の数がある程度の量になると、未成魚、即ち産卵をする前の若いお魚さんになる数量と相関関係がなくなってくる、というのである。  ちょうど今年平成26年5月の水産庁の資料があったので、そこから上記のクロマグロの親子関係をグラフで説明した箇所を下記にコピーする。

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太平洋クロマグロの資源管理について より抜粋 平成26年5月 水 産 庁 http://www.jfa.maff.go.jp/j/kanri/other/pdf/3data3-1.pdf

親の数が2万トンまではクロマグロの加入量に関係して来るが、それ以上は相関性がない。すなわち2万残しておけば後は穫ってよい、ということだと思います。(違うかも) これに対する勝川さんの反論は「相関関係が無いから、因果関係が無いと断定することはできない。様々な誤差が含まれる漁獲データの解析では、本当は因果関係があったとしても、統計学的に有意な相関を見いだせないケースが多いからだ。」(「本誌記事を否定する水産庁の“主張”に再反論、親が減っても子は減らない!?」2015年09月17日(Thu)勝川俊雄 (東京海洋大学准教授) http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5314?page=3)という内容のようだ。

マグロの親子関係、レーニンより難しいです。 が、 国連海洋なんとか委員とか、NGOの魚を守れ!と騒いでいる人がマグロの卵の議論を知らないで、ドローンとか海洋資源管理にホボ関係のない事ばかり熱心である事は、現場経験として書いておきたい。