やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

水産ニュースが海洋国家日本を絶滅させる日

WCPFC会合が今回はかなりの成果をあげて、しかも日本の主張が通る形で終了した。

「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)第14回年次会合」の結果について

平成29年12月8日

http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/171208.html

齋藤農林大臣も記者会見で高く評価している。

こういう大臣の下で働きがいがあるだろうし、ここ数年水産庁の動き見てきたが、魚の事知らないアイランダーやジャーナリスト、NGOばかりを相手に、水産庁よく頑張ったと思う。

水産庁叩きの記事しか出ないのでここで書いておきたい。

「太平洋クロマグロにつきましては、本年8月の北小委員会で作成された保存管理措置案が、多くの国から評価する旨の発言とともにですね、全会一致で採択をされました。これは、我が国が責任ある漁業国として議論を主導した結果だと認識しておりまして、大きな前進であったなと受け止めております。メバチ・キハダ・カツオにつきましては、保存管理措置の継続に積極的でない国が多かったんですけれども、我が国が強く主張した結果ですね、来年1年間の暫定措置ということが合意をされました。これは、現行措置より緩和された部分はあるんですけれども、一定の規制を継続する内容であり、評価できると受け止めております。我が国としては、引き続き、関係国・地域と協調して、責任ある漁業国として資源の持続的利用が可能となるよう、主体的に取り組んでまいりたいと思います。」

大臣記者会見

http://www.maff.go.jp/j/press-conf/171208.html

youtubeも 3:00あたりから

https://www.youtube.com/watch?v=0bmp1giGE8c

私は(2)メバチ・キハダ・カツオの保存管理措置について、で「先進国に加え、島嶼国がチャーターする船にも適用」と、即ち一番問題だけど誰も声を上げない島嶼国の便宜置籍船に規制が及んだことが大きいのではないか、と想像している。今度水産庁に聞いてみよう。水産庁も広報する気が全くないから、そこは問題だと思う。

今回のWCPFCの会議に関するきちんと内容のある取材記事を見かけないのだが、見落としているだけか?

下記のような記事読むと産経の水産担当はいないんじゃないか、と心配です。

クロマグロの“敵(かたき)”をカツオで討たんとばかりに、日本は規制を強く訴えた。」

いくら何でもこの書き方は問題があるのではないか?

2017.12.8 08:06

クロマグロの“敵” 日本、カツオ漁の規制訴え 中韓の乱獲懸念 WCPFC会合

http://www.sankei.com/economy/news/171208/ecn1712080020-n1.html

漁業は国益に重要だし、海洋外交の要なので、産経少し力を入れたら、つまり少し勉強した方がいいんじゃないか、と真剣に思います。色々記事を書かせて頂いていますし、前向きな批判として。水産庁を叩くなと言っているのではありません。叩き方、叩く所が違う、のです。

2017.11.22 22:20

大西洋のクロマグロ漁5割増で合意 高級すしが身近に?

http://www.sankei.com/economy/news/171122/ecn1711220027-n1.html

「国際社会から理解を得るには、日本の資源管理に対する姿勢が問われている。」とあるが

誰が問いているのか?国際社会の声という見たことも聞いたこともない。聞くのは日本のメディアからだけなのだが。。

こちらは海洋保護区のせいで、貴重な米領サモアの缶詰産業が絶滅寸前のニュースである。

米領サモアの缶詰工場が3週間休業。

主要産業で、隣のサモアからも労働者が来ている。

オバマ政権やピュー、パタゴニアなど環境保護派による海洋保護区制定が原因である。今これをトランプ政権が変えようとしている。

https://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/346991/cannery-in-american-samoa-shuts-down-production