やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

サモアツナ缶工場閉鎖に追い込む海洋保護区とPNAのVDS

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ツナ缶工場で経済が成り立っているアメリカ領サモア。

この工場が操業を停止する方向であるという。

原因は十分なマグロが補給されないこと。

なぜか?

記事にはないが、一つはキリバスなどメガ海洋保護区の制定で漁業ができないこと。

もう一つはPNAのVDS。

すなわち、島嶼国が世銀の間違ったアドバイスを受けて入漁料をべらぼうにつり上げたため、米国が太平洋諸島との漁業協定を廃棄する方向で進んでいる事。(2017年1月には同協定は終了予定)

 

Tuna cannery in American Samoa to halt production

By ASSOCIATED PRESS 14 October 2016

http://www.dailymail.co.uk/wires/ap/article-3837079/Tuna-cannery-American-Samoa-halt-production.html#ixzz4NHf3LIuO

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このアメリカ領サモアで働く多くの従業員は隣の独立国サモアからの労働者である。

そのサモアでは、長年地元雇用を生み出した日本の矢崎操業も閉鎖するという。オーストラリアの車産業の廃止に伴うものだ。

 

矢崎総業、サモア工場閉鎖へ 豪州の自動車生産「消滅」のあおり

2016年10月12日

http://www.afpbb.com/articles/-/3104086

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サモアにとっては二重の打撃。

産業を、雇用を失ったサモアに何が起きるか?

タックスヘブンなどの怪しい金融産業が活発になり、雇用を失った人々はニュージーランドなど更に海外に移動するであろう。

一家の稼ぎ柱、父ちゃん、母ちゃんを失ったサモアの家にはおじい、おばあと子供たちが残される事になる。社会の規律は乱れ、社会問題が。。

先にあげたパラオのシャコガイ養殖場が、現地に多くの雇用を生み出す事を期待したい。