やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

パラオ海洋保護区の闇の奥

パラオのレメンゲサウ大統領が主導する、海洋保護区。

パラオの全EEZを海洋保護区とし80%を商業漁業禁止とする法律はUNCLOSの62条に違反している可能性がある事を昨日書いた。

パラオ政府も気付いている。(追記:気がついていない可能性もあります)さすがに誰かが指摘したのであろう。

一昨日書いた、日本の水産庁が支援するシャコガイ養殖場の関連情報をこのブログの読者からいただいた。感謝。

海外漁業協力75号、(2016年9月)。海外漁業協力財団の機関誌だ。

ここにシャコガイ養殖場のインタビュー記事が掲載されている。インタビュイーはレメンゲサウ海洋資源局長代理。レメンゲサウ大統領のご兄弟か?

最後に、すごい発言をしている。

パラオの海洋保護区が実施に移されても日本漁船は操業できる。パラオのEEZ20%は広いので日本のはえ縄船の操業は大丈夫だ、と。

はえ縄船の操業の詳細を知らないが、パラオ政府が指定する20%のEEZでの操業が可能なのであろうか?もしかしたら20%のEEZは日本の漁船に着いてまわる、移動式か?!(冗談です)

もう一つ、海洋保護区に関する情報をパラオ大統領選の中で得た。

先日パラオの海洋警察が台湾の違法漁船3隻を発見。

しかし、レメンゲサウ大統領の指示でお咎めなし。すぐにreleaseされたという。

大統領選最中の情報なので操作されている可能性は高いが、法務省に確認したところ事実ではあるらしい。

これに関連し、台湾政府が毎年10ミリオンドル(約10億円)、大統領裁量の資金援助をしている事がやり玉にあがってる。その使途や大統領の判断基準が闇の中、らしい。

パラオのメガ海洋保護区はUNCLOSに違反しているだけでなく、名目だけで、しかも台湾政府や漁船との闇の関係があるのであれば、ますますこの保護区の目的が信託基金である事が明確である。それを裏で差配しているのが米国の環境NGOピュー。

パラオの海洋保護区の闇の奥。他の地域で真面目に取り組んでいる海洋保護区にも影響してくるのではないか?