日本海洋政策学会の第7回年次大会での発表には、島嶼国の海洋管理に対する法執行の限界をいくつかの点から指摘したい、と考えている。
その一つが多分、今日10月28日に大統領が署名するであろうパラオの海洋保護区制定である。
たった20名強しかいない小国の海洋警察が、60万平方キロメートルもあるEEZを監視できるわけがなく、海洋学者Gregory Stoneがキリバスのフェニックス諸島で発案したメガ海洋保護区の制定をパラオEEZ 全域に対して行う事をいよいよ議会が承認してしまったのだ。
この海洋保護区のミソはこの保護区を支援するという名目で設置される信託基金である。
先週から出ているニュースには、パラオのレメンゲサウ大統領よりも世界のセレブを駆出してこの案を強引に進めたPEWの方がはしゃいでいる様子が見え見えである。
どうにも頭に来て、思わず、水産庁関係者にメッセージを送った件がある。
PEWがいかにも自分たちの手柄のようにプロパガンダに使用しているベトナムの違法操業船をパラオ警察が燃やしている映像だ。
PEWは何もしていない。
この違法漁船を発見したのは水産庁が昨年パラオに派遣した取締船「みはま」である。
この違法漁船を拿捕したのが、日本財団が供与した三隻の取締船である。
PEWに、世界の金融組織に、日本はいいように利用されてしまったのだ。
PEWや世界の金持ちは、世界の水産業や島嶼国の未来なんか一切関心がない。
PEWとそれを取り巻くメディアは、海洋保護区と反日・反水産業をセットにして、ミクロネシアの人々を、国際世論をうまく丸め込んだのだ。
世界の水産業は日本が背負っている。日本が一番の消費者だ。
日本の無策は我々に跳ね返ってくるのである。
そしてこの無策を主導しているのが、信じられない事に我が国の外務省と法務省である事も学会発表で触れない訳にはいかない。