やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ハワイの漁業開祖は瀬戸の海賊!

瀬戸内海の村上水軍を訪ねた事をきっかけに『ハワイに渡った海賊達』(2007年、堀雅昭著、弦書房)を読んでいる。海洋法関連の資料を読みながらなので、まだ半分程度しか読み進めていないが面白い!

ハワイの漁業元祖も日本人だった。しかもハワイに移民した瀬戸内海の海賊の末裔?

日本領だったミクロネシアに移民した沖縄の海人が今に続く遠洋漁業の開祖である事は知っていたが、そのもっと前、ハワイの方が早かったのだ!

1892年頃沿岸漁業,1902年近海漁業, 1909年遠洋漁業

ウェッブ検索すると下記の資料を見つけた。

「戦前ハワイにおける日本人の職業と居住地・出身地分布」

飯田耕二郎 より

http://hist-geo.jp/pdf/040/045/212_037.pdf

関連箇所を引用する。

「まず漁業については, 日本人移住者が増加するに従い急激に魚の需要も増したため,耕地労働者から漁業に転ずるものが現れた。1892年頃よりいわゆる沿岸漁業が始まり,1902年に近海漁業となり, 1909年頃より遠洋漁業をみるに至った。こうしたハワイ漁業発展の過程で,山口県出身の西村亀太郎と和歌山県出身の中筋五郎吉らがその功労者となった。西村は1897年当時最新の日本式方法を採用して,遅れていたハワイの近海漁業を発展させた。中筋は帆船による不便を感じ, 1907年にガソリン・エンジンを採用して漁域をひろめ,遠洋漁業の発展に寄与した。そして1907年のヒロ水産株式会社から始まって,1908年に布畦水産株式会社, 1910年には太平洋漁業株式会社および布睦島漁業株式会社,1914年にホノルノレ漁業株式会社という 5つの主要漁業会社が日本人によって設立された。」

水産庁の皆さん、きっと知らないだろうな。。

この資料も面白そう。

「ハワイにおける日本人の水産業開拓史」

http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/lcs/kiyou/pdf_21-4/RitsIILCS_21.4pp39-52OGAWA.pdf

現在の海洋ガバナンスの一つのきっかけがブリストル湾事件などの日本漁業の太平進出にある、とすれば重要だから読んでまとまたい。

もしや、瀬戸内海の海賊の末裔が世界の海洋ガバナンスを動かした?ということではなかろうか?