江崎道朗氏の本を出すスピードがすごい。
スピードが上がれば内容は薄くなると思うにだが、どんどん濃くなっていく感じだ。
自分用のメモとして、3回に分けて読書感想を書いておきたい。
「日本は誰と戦ったのか」ー コミンテルンの秘密工作を追及するアメリカ
は20ページ近い長めの「はじめに」から始まる。ここを読むだけでも相当勉強になるし、考えさせられる。
ちょうど、私はニュージーランド学会でニュージーランドの歴史教育について娘の経験を紹介しながら述べたところ(*)でもあったのでこの「はじめに」だけで随分頭の中でグルグル考えてしまった。
「はじめに」は、歴史研究がどうあるべきか、ということが議論されているのである。娘の歴史の授業の課題と同じで「戦争責任が日本にあったか、パールハーバーにあったかどうか」ではなく原因と結果を多角的に観ていくことが主張されている。
その中でも特に今まで無視されてきた、ソ連の動き、コミンテルンと米国の動きに焦点が当てられ、本文に展開するのだ。
ニュージーランドには歴史教科書がない。
様々な情報源を探してくる事も歴史の授業の課題である。
そして歴史的出来事の原因と結果を様々に研究し、自分がそこにいたらどうするか、など”if”をたくさん使って検討するのだ。
日本の、そして米国の歴史研究の状況は知らないのだが、数少ない経験から結論を動かさずそれに合わせた資料探しや研究がされているような「気」がするのだ。
最近も「日本の植民政策は良い事もした」と言っただけで植民学研究者から袋叩きにあったばかりである。
あと2回、日本の南進論を決定したゾルゲの事とらティアモアについてメモしておきたい。
ゾルゲはドイツ人で地政学者ハウスホーファーに日本に来る前会っているのだ。一気に関心を持った。
そしてラティモアは以前長尾龍一氏の本を読んでこのブログにもメモした人物なのだが、江崎氏との認識が違うのだ。これは再度長尾氏の本を読んでから、と思っている。