これも『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(江崎道朗著、PHP, 2017)か、関連の江崎氏のコメントで取り上げられていた書籍である。
『インテリジェンスの20世紀 情報史から見た国際政治』(中西輝政・小谷賢著、2007年、千倉書房)。
雑誌Will11月号の、中西・江崎対談によると、日本国際政治学会で、中西先生が主催したインテリジェンス研究セッションを、細谷千博教授が阻止したという。本当だろうか?そうであれば何故?
そんな「インテリジェンス研究」とはどれほどの「キワモノ」で「陰謀論」なのか、ドキドキしながら捲ってみた!
事実が粛々と、認識論が淡々と綴られているだけではないか!
学術研究の可能性は大きいと思うのだが、細谷先生は何を否定したかったのであろう?
ざっとであるが拝読して一番記憶に残ったのが、大陸より遅れた英国のインテリジェンスが始まった背景に1860年代のアイリッシュのテロ活動があった、という箇所である。(192−193ページ、奥田泰広、第8章「インテリジェンスと国家運営」)しかも世界に散らばったアイリッシュがテロ活動をネットワークしたのだ。
アイリッシュのテロ活動の要因は英国の植民政策にある。英国はアイルランドを植民地にし、クロムウェルはアイリッシュを奴隷として他の英領植民地に送り込んだ。
海底通信ケーブルの独占政策も英国を情報国家にした背景である。これは当方の博論で少し取り上げた。