やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

トンガ国王・女王中国を訪問

大型サイクロンギータの被害状況が次々に報告されるトンガから、気になるニュースがあった。

トンガ国王と女王が2月28日から3月8日まで中国を訪問。

今年両国は外交関係を樹立して20年を迎える。

King and Queen travel on State Visit to China

Monday, February 26, 2018

http://matangitonga.to/2018/02/26/king-and-queen-travel-state-visit-china

台湾との関係を切って中国との外交を樹立し、中国との関係を強化してきたのがトンガ王室であった。(トンガサットの運営に関係しているのだがここでは省く)

そして、その王室を批判して誕生したのが現ポヒヴァ政権だ。

ポヒヴァ首相と王室・貴族の確執は、昨年国王による首相更迭、という頂点まで達した。しかし、その後の総選挙では再びポヒヴァ首相が返り咲いたのである。

即ち、民主主義は、トンガの国民は国王の判断を覆してしまったのである。

しかし、返り咲いたポヒヴァ首相は体調を壊している。そこにこのサイクロンである。

現在トンガ王国が抱える債務は下記の通り。

公的債務ー 全体の公的債務がUS$216 million。その内US$191 .2 million が外国からの公的債務で、GDPの44%。このUS$191 .2 millionの60%が中国からの債務。残りは世銀とアジ銀。

2008年と2010年に中国の金融機関、Export-Import Bank of China (EXIM Bank) から, US$250 millionのローン。

(他のニュース記事も見たがこのローンの正確な金額は数字がバラバラでよくわかりません。)

Pacific nations drowning in Chinese debt

By The Australian - February 2, 2018

https://www.theaustralian.com.au/national-affairs/pacific-nations-drowning-in-chinese-debt/news-story/082de1ecc957c9c4380bb9cb8555fa95

この返済が今年から開始する予定なのだ。勿論トンガにそんな返済能力はないし、このサイクロン被害と、政情の不安が重なる。そこに国王、女王の1週間の中国訪問だ。

返済期限延長交渉か、サイクロン被害への支援か、このご訪問に胸騒ぎがするのは私だけだろうか?

中国はこの債務と引き換えにトンガの港湾を中国に渡すよう提案する事は眼に見えている。

(これは2013年の記事だが、既に米豪日は中国がトンガを軍港として使用する可能性を指摘)

S. Pacific ‘Chinese ports’ cause worry / Japan, U.S., Australia wary of ‘footholds’

by Publisher on September 5, 2013

http://www.tonganz.net/home/s-pacific-chinese-ports-cause-worry-japan-u-s-australia-wary-of-footholds/