やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

トンガ国王中国訪問、元首相逮捕、NZ支援強化

昨日あげたトンガ国王・女王の中国訪問に多くのイイネ、とFacebookの方で質問も受けた。今日の読売にも記事が出た、と言う。 下記2つの関連するニュース。これは現地の事を知らないと関係性が見えない。

f:id:yashinominews:20210329081204j:plain

元首相Lord Tu’ivakano (66)

一つ目はトンガのニュース。 元首相Lord Tu’ivakano (66) がマネーロンダリングとパスポート偽造で逮捕された。国王不在に合わせた可能性が高い。 トンガは90年代にパスポート販売を率先して来た。当初の売り手は中国の返還される香港の人たちだ。そして台湾。今は本土中国。彼らはトンガのパスポートを得て何をするのか?豪州、ニュージーランドにアクセスしやすくなる。 マネーロンダリングは、中国もそうだが、ロシア始めお金を逃がしたいあらゆる国が考えられる。 問題は元首相の関与である。ババウ出身の貴族だ。王室まで捜査が進むのか?この主権ビジネスを始めたのは王室である。 もう一つ気になるニュースがあった。 ニュージーランドのウィンストン・ピーターズ外相が昨日豪州のローウィ研究所で講演した。ニュージーランドは太平洋島嶼国への支援を増やすと。下記にスピーチをリンクしておく。 3つの支援の柱の2番目が越境犯罪を含む安全保障である。

f:id:yashinominews:20210329081248j:plain

ウィンストン・ピーターズ外相

And the second reason is national security. The modern world opens trans-boundary security challenges; including gangs; criminal deportations; drug production and distribution; cyber and financial crime; and aviation and border security. New Zealand’s national security is directly affected by the Pacific’s stability.

小さな島社会で、元首相の逮捕はできない。なぜ? 警察も司法もみんな親戚、友達だ。仕返が怖い。 とすると今回の元首相逮捕はニュージーランド警察など外部の圧力がかなりあったと予想できる。 米・豪・ニュージーランドが急に反中を明確にしたのは太平洋島嶼国が中国やロシアそして北朝鮮のブラックマーケットになっている事を認識したのであろう。 これらの怪しいビジネスを紹介したのは米・豪・ニュージーランド、なんだけどね。。

Speech to Lowy Institute Martin Place, Sydney “Shifting the dial”, Eyes Wide Open, Pacific Reset https://www.beehive.govt.nz/speech/shifting-dial “SHIFTING THE DIAL”, EYES WIDE OPEN, PACIFIC RESET

https://www.lowyinstitute.org/publications/winston-peters-new-zealand-pacific