やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

『国際海洋法の現代的形成』田中則夫著(読書メモ)

2016年1月に、笹川平和財団羽生前会長からこれからも財団の仕事を続けて欲しい、と言われて、海洋問題を体系的に学ぼうと思った。

2008年から開始したミクロネシア海洋保安事業。笹川平和財団にとっては初めての海洋事業であった。よって、事業は主に国交省、海保からの出向や退職者が担当し、一緒に仕事をする事になったが、彼らの海洋に関する知識が限定的であることを現場を見ながら認識した。具体的には海洋法、特に環境や水産関係の知識がない、もしくは勘違いしており、そこで大きな問題を発生させていたのである。

 

自分も海洋問題に関しては断片的な知識しかなく、しかも現場の知識が中心であったので体系的に学びたいと、海洋政策財団の寺島さんと古川博士にアドバイスを求めたが何も教えてくれないどころか古川博士は、私が坂元茂樹教授の名前を出したところ「坂元先生は引っ張りだこで早川さんなんか相手にしてくれない」とまあ、失礼な反応だった。

 

それで自力で同志社大学の総務部に連絡したところ、翌日坂元教授から返事が来て、お会いしましょう、博士を受けなさい、BBNJでやりなさい、とあっという間に2つ目の博論に挑むことになったのだ。

 

もちろん試験に受かるかどうかもわからない。1つ目の博論を提出したと頃でボーッとしていた時に急遽試験勉強を開始した。その時、坂元教授から教えていただいた本が『国際海洋法の現代的形成』(田中則夫著、東信堂、2015年)。

 

先日博士論文題目審査、というのがあって三人の教授との面接があり、なんとなく研究の方向がみえてきた。そこで再度この『国際海洋法の現代的形成』をこのゴールデンウィークをかけじっくり読み込もうと決意したわけだ。

 

例えば「海洋の自由」って複雑でそんな簡単にスピーチの中で否定するような話ではない。