やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて30年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

海洋法

クニオ・ナカムラ大統領の遺産(3)レメンゲサウ政権の環境保護懸念

ナカムラ大統領の任期は1993−2001年で4年の任期を2期務めた。その座を副大統領としてナカムラ氏を支えた現大統領のレメンゲサウに譲ったのである。 しかし、レメンゲサウ政権は環境保護を、時の流れに沿って強く押し出した。これにナカムラ大統領は強く反対…

白石隆著「海の帝国」アダム・スミス、ラッフルズ

ラッフルズホテルとラッフルズは関係ないのだが、死ぬまでに一度は泊まってみたい。 白石隆著「海の帝国」は、ミクロネシア海上保安事業を2008年に立ち上げる時に、どのようなコンセプトで事業を進めればよいか、模索していた時に出会った本である。 「イン…

"Sovereignty" and "Sovereign right"

Palau constitution violated the regime of EEZ in the UNCLOS. I have read this argument a few times in the past. This was also the reason why the US could not agree to an “anti-Nuclear” constitution in the 80s. Recently I have read “Constit…

エプスタインSexスキャンダルと海洋保護区inSDGs

この度のパラオ大統領選中間選挙が示したパラオ国家海洋保護法に対する国民のNO。ほとんど病的とも思える国連の海洋保護の動きを修正してくれる事を期待したい。それは小和田判事が捕鯨裁判で反論されたような感情的な動きでしかない。 小和田裁判官の反対意…

群島概念と領海-John Brock 1980 Naval College

曾村保信著『海の政治学 海はだれのものか』中公新書、1988.3 この本の中で John R. Brock, ARCHIPELAGO CONCEPT OF LIMITS OF TERRITORIAL SEAS, USNWC-JOURNALS > ILS > Vol. 61 (1980). International Law Studies が引用されているらしい。この英文論文…

太平洋島嶼国のEEZ(修正あり)

やっとできた! 太平洋島嶼国のEEZと、陸地面積、人口、GDPを比較した表。 参考に日本と中国を入れた。(下線は修正箇所) 左から4つ目の列は陸地面積とEEZ面積の比較。日本はEEZは陸地の12倍。クック諸島は8,270倍。キリバスは4200倍。 左から6つ目の列は…

ムーミンパパの推薦図書

SNSで国際法のことを呟いているが時々、関連資料を教えてくれるアカウント、ムーミンパパがいます。多分どこかの教授ではないかと思うのですが身元を明かしてくださいません。 推薦図書をここに記録していきたいと思います。国際法は面白いですが、知れば知…

文化大革命とアフリカとムーミンパパ

60年代のアフリカの誕生と中国の国連加盟と海洋法条約、この流れをさらっと書くつもりが中国の文革をアフリカが支えた、軍事支援もして分離独立も支えたことがわかりました。 ああ、60年前から中国は同じことを続けているのだ。今に始まったことじゃあない、…

パルド大使の論文とムーミンパパ

海洋法条約の父、パルド大使の論文ってあまり出て来ないなあ、と呟いたら下記の2つをムーミンパパさんが教えてくれました。(ツイッターのアカウント名です。多分国際法を専門にされる方です) 後で読んでコメント書きますが、パルド大使は海洋の専門家でも…

カンパチとナヴァロの水産改革

2020年5月7日の大統領令で示された米国の水産改革。同日のウォールストリートジャーナルに、トランプ政権の通商戦略ブレーン、ピーター・ナヴァロと国内政策会議(DPC)委員長ジョー・グローガンの連名で記事がでた。 "Trump Lifts the Net off American F…

トランプ大統領とピーター・ナヴァロの漁業・海洋政策<追記あり2020.5.26>

これこそドンピシャの私の研究課題。後で読みますが、要はオバマやデカプリオ、PEWが工作してきた海洋政策の転覆でパラオや太平洋島嶼国に関連してくる話。。 しかし、まさかナヴァロが漁業政策を語るとは思わなかった。。 <追記1> トランプ大統領とピー…

ハンナ・アレントー永井陽之助ー阿部斉

ロックダウン中のニュージーランドに入国し、隔離生活11日目。 読書計画があったが、永井論文に出会って見事に崩壊した。 国連人権理事会のパネルに中国が選ばれたとのニュースに接し、国連に「人権」が入る事を書いていた草間秀三郎氏の論文を思い出して…

「排他的経済水域」水上千之著

海洋法研究の大家、水上千之先生の「排他的経済水域」 この排他的経済水域という作為的で新たな法的概念の形成過程、現状、議論など100回くらい読まないと理解できない。が、ここが今取り組んでいる博論の要であることはわかっている。 思いっきり人のせいに…

『国際法原理論』ハンス・ケルゼン(読書メモ2)

ケルゼンの国際法原理論、最初の70頁程度の第一部を読むだけで数週間が過ぎてしまった。 第一部後半の戦争犯罪に関する箇所はシュミットの議論とも重なるところがあり、興味深かったが難しい。笹川良一さんを「戦犯」と呼ぶ人が身近にいて唸ってしまったの…

島が沈んでもEEZは残る?

この話は結構以前から国際法、まさに海洋法の分野で議論されていて気になっていた。マーシャル諸島政府は既に公式に宣言しているのを、政府レポートで読んだ記憶もある。しっかり調べていない。調べなければならない分野だが。 海面上昇で沈みそうな島、もし…

チャールズ皇太子とソロモン諸島国家海洋政策

Prince Charles launches Ocean Policy - Solomon Star News チャールズ皇太子のソロモン諸島訪問。その目的にはソロモン諸島国家海洋政策設置式典の参加とマラリア対策があった。チャールズ皇太子は式典に参加したというだけで詳細は見つからない。私はチャ…

第一次世界大戦に日本は割って入ったのか?

京大の奈良岡教授が「第一次世界大戦に日本は割って入った」と主張され未だにショックを受けている。私の第一次世界大戦の理解は平間洋一先生の論文の依拠している。 なかなか難しく、複雑な議論だが「割って入った」と一言では片付けられないような気がして…

『法学の世界』読書メモ その2

法学とは何か?法律とは何か?国際法で博士論文を書くとはどういうことか? 学部生のために書かれた導入書『法学の世界』を紹介してくれた法哲学者に感謝したい。シンプルな故に奥深いく、色々考えさせられるのだ。 第一章は憲法につづいて民法、刑法が続き…

ロシア中国が反対する「南極の海洋生物資源の保存」

外国メディアは環境派受けする本件をかなり記事にしています。 「南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)第38回 年次会合」の結果について:水産庁 先日南極管理に関する重要な会議が終了した。 水産庁の上記発表では詳細がわからないので問い合…

西平等『法と力』読書メモ

「先生、国際法知らないでしょ。」 喉まで出てきた言葉だが相手は10歳年下で、国際法が専門でもないが、京大の教授である。しかもその言葉を私が吐いたところで、私が国際法とは何かを理解しているかどうか自分自身疑わしいし、そもそも説明なんかできない!…

ソロモン諸島台湾断交をめぐる「法と力」

ソロモン諸島台湾断交を決定したソガバレ首相からその正式な理由が断交決定後3日目の9月20日に発表された。これは国際法の観点から非常に興味深い。奥が深い。中国人の国際法研究者が背後にいることが手に取るようにわかる。彼らは国際法は利用するものであ…

キリバス台湾断交と中国衛星スパイ基地と売春婦

キリバスは日本に支援をずっと要請してきたのである。日本は何もできなかった。米豪首脳会談に日本も参加すべきだ。中国の海洋権益だけでなく、中国宇宙軍に利するばかりなのだから。 ニュージーランドのマイケル・フィールド記者は、先日英国軍ラグビーチー…

キリバスのEEZと米国の安全保障

キリバスの台湾断交。あまりにも突然でニュースも出てこない。誰もこの動きを抑えていなかったのだ。それほどキリバスは世界から見放されていた、とも言えるかもしれない。 あれだけ、アノテ・トン元大統領が島が沈むと世界に訴えていたにも拘らず、だ。 キ…

ソロモン諸島は日本の一大水産基地であった。

ロイターがニュースを出して結構話題になっているが、あまりにも現状認識が酷すぎるので一筆。 reut.rs ソロモン諸島がいよいよ台湾から中国へ外交関係を変更とのニュース。まだ決定ではありません。9月8日からソロモン諸島外相が台湾を訪ねています。 ソロ…

米国海洋政策は元海軍少将がトップに

知らなかった。昨年の6月いやもっと前か。海軍出身の海洋学者RDML Timothy Gallaudet がNOAAの、すなわち商務省次官補となり米国の海洋政策を率いる。9月9−13日パラオに入る。どんな海洋政策を示すのか? 下記のビデオを見ているが、科学データを基本とした…

小野寺五典議員の論文とEEZ

元防衛大臣、小野寺五典議員が1996年に発表した下記の論文、意外と知られていない。海上自衛隊元幹部も知らなかったので以前も取り上げたが再度リンクします。 小野寺五典, 廣吉勝治 「日米漁業摩擦の起源とその背景:いわゆる「ブリストル湾事件」に関する素…

”Red Star over the Pacific” 2nd edition by T. Yoshihara, J.R.Holmes

昨年12月に発行された"Red Star over the Pacific" second edition、はすごい内容だと思う。軍事、中国の知識がないとついていけない、というのが正直な感想だ。 それでも中国の海洋権益を中心とした「中華思想」の確信を理解、というより衝撃を受けるのは序…

America's Pacific Island Allies - RAND 報告書

数週間前に米国のシンクタンク、RAND Corporationから米国が自由連合協定を締結するミクロネシア3カ国に関 する報告書が出て、安全保障、アジア太平洋、インド太平洋関係者はみんな読んでいた。 ざっと読んだがかなり大雑把な、簡単にまとめられた内容で、こ…

私をインド太平洋構想に導いた衛藤晟一議員

太平洋を渡り歩いて30年の私が一気に安倍政権の「インド太平洋構想」に範囲を広げるきっかけを作ってくれたのが衛藤晟一議員なのである。 先月シンガポールの学会で発表のリハーサルをしながら思い出していた。 2017年4、5月。私は古屋圭司議員が会長を務め…

商業捕鯨を再開すると南極での活動ができなくなる理由

美味しそう! 昨日読んだ森下、岸本論文の下記の部分が気になり、これこそ今度の国際法学会の主要テーマ「多元化する条約体制による秩序形成と維持」なのではないかと条約を当たってみた。以下の条項だと思うが違うかもしれない。 環境保護に関する南極条約…