やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

使われない船?使えない船?

私が一人で立ち上げたミクロネシア海上保安事業。現在この事業に関与している国交省も海保も太平洋島嶼国に関する知識も人脈もゼロで彼らにできるわけがない。

私が笹川洋平と羽生次郎を焚きつけて立ち上げたのである。

具体的支援事業内容の中に監視艇の供与が入った。日本側の造船利権である。

この船が使用されていないという話を各方面から聞いて気になっていた。パラオに供与した大型の監視艇は1年間故障で動かないという。なんと監視艇を作ったことのない造船会社に作らせたのだそうだ。

 

私が目の前で見てきたことを書いておこう。

当初日本財団は15メーターの小型の監視艇を供与した。これはEEZまでは回れない。そこで私が水産庁を動かして大型船の派遣を実現した。ところが、当時の笹川平和財団会長で国交省の審議官であり、加えて「ノーパンしゃぶしゃぶ」常連官僚だった羽生次郎氏が激怒したのだ。パラオ政府がいらないというのに大型船を押し付けたのである。すなわち国交省の利権事業に水産庁が出しゃばるな、ということだ。その時の羽生氏の目つきがまさにキチガイのようになっていたのを覚えている。

「日本財団の船の予算が余ってて困ってんだよ。あれを使ってやる。」

ノーパンしゃぶしゃぶとは何か一応調べた。覗き見の幼児性欲の現れのようだ。こういうのが日本の官僚かと落ち込んだ事も覚えている。

笹川洋平が私が雑誌に記事を書いたり博士号を取ったことに嫉妬して、訳のわからない罵詈雑言を私に投げつけきた。哀れに思い同情してしまった。パラオで彼が相当嫌われている事をパラオ閣僚から相談を受けた。そこで私は「名誉市民はどうですか。名誉欲が強いのでよろこぶでしょうし、パラオ政府もお金がかからない」と提案した。その提案が実現した時は複雑気持ちであった。

私が笹川洋平に名誉市民をアレンジしたのは、パラオの事も、海洋のこもも何も知らずに、今回の大統領選でも争点になった海洋保護区を支援していることを反省してくれると期待したからである。もし、海洋問題を知っていれば海洋保護区を支援しないはずなのだ。しかし笹川洋平氏は学ぶことをしなかった。

今回あらためて書くのは、パラオに新しい大統領が誕生し、新しい政権は笹川洋平を歓迎していないことを明確にしたいからだ。特に日本の外務省が勘違いしているようである。悲しい現実だが、これ以上パラオに迷惑をかけたくない。