フランス憲法から「人種」という言葉が削除される話をすると「まあひどい」とか「他の人種を無視する気だな」とか「国際法を無視する気だな」とか否定的反応ばかりで、っちょっと面食らっている。
それで国際条約「人種差別撤廃条約」を外務省のウェブで見るとナチズムに対する運動が発端だったようなことが書いてある。
日本が提案したパリ講和会議における人種差別撤廃案は無視なのだろうか?そして日本の提案は「人種」という概念を前提にしたものだったのだろうか?
「人種差別撤廃条約」に日本が加入した1995年の時点で「人種」という概念に対する批判的議論はなかったのであろうか?
「人種差別撤廃条約」など読むと「人種」という概念があることが前提となっている。今回のフランスの動きと国際法は関係ないであろうか?
などと色々疑問が湧いてきた。海洋法とは関係ないのだがちょっと調べてみたい。
まずは下記の2本の論文にざっと目を通した。
パリ講和会議における日本の立場--人種差別撤廃問題を中心に 鳥海靖
法政史学 (46), p1-18, 1994-03
池井優博士のペーパーは必読だ。日本が講和会議にどのように望んだか。1963年の時点では人種差別撤廃問題はそれほど研究がなかったようだ。日本の人種差別撤廃問題は、カリフォルニアでの日本人移民排斥が基本で、世界の人種差別はあまり意識していなかったようだ。そして英米は表面上日本に賛成していたが、反対したのは第一次世界大戦でドイツよりも死者の割合が高かった豪州であった、という。豪州を日本が守った事をなぜもっと広報しなかったのであろう?
池井博士の論文の「結び」には日本の世界情勢の不勉強と共にプロパガンダ不足、宣伝不足で国内の世論も管理できず、世界の世論の支持も得られなかったことが指摘されている。
歴史から日本外交は学んでいるのであろうか?