やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

マース独外相までも動かした安倍政権の「島サミット」

一瞬目を疑った。来日したハイコ・マースドイツ外相の講演記録だ。

「太平洋島嶼国」とある。この発言を導き出したのは先般開催された「第8回島サミット」に違いない。1997年の第一回島サミットから見て来て、外務省大洋州課よりは詳しい私が言うので間違いない。「第8回島サミット」はそれまでの7回と比べ、天地の差があったのである。広義の、そして海洋の安全保障が真剣に議論され合意されたのだ。

既に太平洋の領土を持つフランス、そして先般開催された米豪2+2を動かして来たことはこのブログで書いた。まさか、ドイツまで動かすとは想定外である。 

安倍政権、おそるべし。

 

「多国間協調主義者の同盟が実現すれば、日本やドイツよりもさらに、自分たちの訴えを聞いてもらいづらいこの地域の国々の支えにもなるのではないかと思います。例えば、太平洋の島嶼国等がそうでしょう。国際自由貿易、開かれた海上交通路や温暖化対策等は、こうした国々にとっても重要で、多くの場合存亡に関わる問題となっています。」

japan.diplo.de

 

でも歴史を知っていればちょっとこわい。 第一次世界大戦でドイツの太平洋植民地を占領したのは日本である。その後の日独同盟はこの太平洋の旧独領を日本が維持する目的もあった。そして日本は、マース外相が指摘する法律だけでなくドイツの植民政策から多くを学んだのである。

さらに、EEZがたった4万㎢しかないドイツは海洋科学技術で世界ナンバー2。ドイツの300倍、世界第2位のEEZを管轄するフランスの海洋科学技術はドイツの比べ大きく遅れている。その事がBBNJの議論にも関係してくるのだ。

太平洋を巡る日独協力。ちょっと今は想像もできない。。

 

「南洋の王」と呼ばれたハンザ都市、ハンブルグの商人ゴーデフロイ家はフランスのラ・ロシェルユグノー

yashinominews.hatenablog.com