サイバーセキュリティー担当大臣に就任した桜田議員が「PC使ってない」と言うことが話題になっている。情報通信政策で博士号と取った当方は開発の分野でこの事を論文で議論したが、サイバーセキュリティの世界でも、同じであろう。
PCが使えることと、サイバーセキュリティを理解する事は全く関係ない。
サイバーセキュリティー担当大臣に必要なのはサイバーすなわちインターネットの本質とセキュリティの本質を理解している事である。
それよりもサイバーセキュリティー担当大臣が、若しくは関連閣僚が知っているべきはITUという国際機関の長となった日本の官僚が、米国のインターネット一極支配を国連と組んで崩壊させた事である。
郵政官僚の内海善雄氏である。
内海氏が事務総長の時に通称WSIS - 世界情報社会サミットを立ち上げた。私は内海氏の政治的背景を知らず、2003年東京で開催された「アジア」会議に太平洋島嶼国の参加、サイドイベントを国連大学と企画。会議名称が「アジア」から「アジア太平洋」会議に名称が変わった程である。島嶼国の存在、影響は思った以上に大きく、内海氏がどこかで書いていた記憶もある。
しかし、情報格差が主要目的だったはずが、その後インターネットガバナンスの協議に移って行った。私は、また島嶼国は情報格差から逃れられないままか、とがっかりしていたのである。ところがしばらくするとITUが情報格差に、インターネットに乗り出してきた。何があったのか?ITUは基本的に電話会社の集まりである。世界で一番古い国際機関。ここがBRICSに乗っ取られた形となった。
一方インターネットは米国が独自に開発してきたものである。米国主導で進められてきた。電話会社の集まりITUはインターネットが利用する通信基盤を提供している。一時インターネットのせいで電話会社が崩壊するとヒステリックな記事が並んだ時期がある。
内海氏の真の目的は情報格差解決ではなかった。米国のインターネット一極支配を終わらせる事だったのだ。これはご本人がウェブサイトを立ち上げ、過去にメディアに書かれたものも含み、明確に主張している。お若い頃から米国には恨みがあったような背景もわかる。
米国のインターネット一極支配が崩壊した結果が今の惨状である。中国、ロシアが支配力を持ちサイバー戦争が始まった。すなわち、内海氏が退治した米国という独裁怪物が世界中に氾濫し、制御できない状態になったのだ。
米国は内海氏を許していない、と聞く。日本の官僚はこの事を知っていても政治家には知らせていないだろう。
サイバーセキュリティー担当大臣が知っているべき件はこの事である。この事だけを知っていれば良い。
以前も書いていました。博論にもWSISの動きとして簡単に触れました。