やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

パラオ大統領の暗殺、自殺ーお花畑の外務省大洋州課のために

パラオが楽園である、というのは否定しない。

しかし、その政治は血にまみれている。

歴代の大統領は暗殺され、自殺した人もいる。自殺は暗殺ではないか、という噂も。

 

Haruo Remeliik初代大統領 1985年6月30日に暗殺

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Roman Tmetuchlの親戚が犯人。空港には彼の名前がつけられている。

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Lazarus Salii 第4代大統領1988年8月20日に自殺

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問題は暗殺、自殺の時期である。1985年と1988年。ちょうど豊田商事事件と関連のあるパラオのアイライ、すなわち空港付近の開発案件が多く出てきた頃だ。日本の暴力団ニシゾノマサオという人物がアイライホテルで焼身自殺もしている。ここに豊田商事と関係のある笹川陽平氏がどのように関わっているか米国当局に聞かれたが、残念ながら私は知らない。しかし、陽平がパラオのことを何も知らないにも拘らずある大統領の詐欺事件を口走ってしたのは記憶にある。彼をパラオ名誉市民にしたのは私である。陽平はパラオで評判が悪く、ある閣僚からか相談されたのだ。名誉市民であればパラオ側は一切費用がかからない。しかし私は提案したことを深く反省している。パラオのことを何一つ知らないのだ。詐欺事件以外は。

 

<追記>

パラオ空港ターミナルビル建設をめぐる裁判。ここに出てくるニシゾノマサオはBoo-sikという韓国系らしい名前の建設会社を持っている。日本のヤクザであると聞いている。アイライ州のRoman Tmetuchlは1983年に日本でニシゾノと出会いビジネパートナーとなる。1990年、ニシゾノはGrace Hotelで焼身自殺。ホテルはアイライビューホテルと名前を変えて2000年に再開。

Tmetuchlは日本時代にはケンペイタイであり日本語は流暢なはずだ。1981年からアイライ州の知事。豊田商事事件の関連会社ムサシノエンタープライズは4千株をアイライ州が保持していた。同社の取締が笹川陽平である。ニシゾノはフロント、だったのではないか。

Nakatani v. Nishizono, 2 ROP Intrm. 7 (1990)

http://www.palausupremecourt.net/doc/ROP_Reporters/2ROP/2%20ROP%20Intrm%207.pdf

http://www.palausupremecourt.net/doc/ROP_Reporters/10ROP/10%20ROP%2029.pdf

 

<追記その2> アイライと豊田商事で検索したら出て来た大阪地方裁判所の記録。

大阪地方裁判所 昭和62年(わ)2473号 判決 - 大判例

コピペする。なんだ中国が太平洋島嶼国でやっていることは日本が80年代にお手本を示したのだ。大型リゾート開発に見せかけてお金を集める。でドロンする。

「21 株式会社ムサシノ・エンタープライズ

ムサシノ・エンタープライズは、昭和五五年三月二四日資本金三〇〇万円で設立され、自動車の板金塗装及び自動車のリース業等を行っていたが、昭和五七年ころから、パラオ共和国に中古自動車を輸出していたところ、パラオ政府から同社に対し、発電所建設の要請があり、昭和五八年一〇月二〇日付けで、パラオ共和国アイライ州政府との間で、発電所建設工事契約を締結して、工事に着工し、昭和五九年八月ころ完成した。そして、発電所及び発電機等の工事のほか、付帯工事のダム建設、道路工事、変電所工事等を加えると総工費約二二億円となったが、右工事代金は、全額ムサシノ・エンタープライズが立替える等していたところ、パラオ共和国アイライ州政府が右工事代金を支払えなくなったため、その代わりとして、昭和五九年一〇月ころ、ムサシノ・エンタープライズがアイライ州の土地三〇〇万坪を、昭和五九年八月一五日から九九年間租借するという契約をアイライ州政府との間で締結した。ところが、ムサシノ・エンタープライズは、右二二億円のうち機材代金や下請に支払うべき資金がなく、融資先を捜していたところ、同社の非常勤取締役であるとともに同社の親会社の武蔵野自動車販売株式会社の代表取締役であった甲田十平が、昭和六〇年一月末ころ、乙田一介の紹介で永野一男に会い五億円の融資を申込んだ。そこで、永野は、同年二月中旬ころ、現地を視察したところ気に入り、ムサシノ・エンタープライズが租借した土地をレジャー基地として開発することにし、すぐに銀河計画とパラオ共和国との間で、銀河計画において一般住宅約一〇〇〇戸並びに学校、病院等公共施設を建設して無償貸与するとともに、周辺離島間に飛行機の定期便を就航させる見返りとして、ムサシノ・エンタープライズの租借地三〇〇万坪を銀河計画においてレジャー基地として開発し、ホテル建設約三〇〇〇室、ゴルフ場建設七二ホール、ヨットハーバーの建設、総合運動場の建設、ビーチの開発等を行い、さらにパラオ諸島のうちの七か所を九九年間租借する旨の合意書を取りかわした。なお、その際、永野は、甲田十平に、パラオの開発は、豊田商事の関連会社であるミクロネシア開発株式会社に行わせることやそれまで沖縄の慶良間列島の開発を手がけていたが、パラオの立地条件にはかなわないので、その方はあきらめる等と話していた。」

 

<追記その3>

Donald R. Shuster (1992) The last trusteeship — island of opportunists:A Personal View of the Republic of Belau , The Journal of Pacific History, 27:1, 73-82, DOI: 10.1080/00223349208572692

シュスター氏のペーパーを読んだ。パラオへの投資は香港、中国から、そして英国も。豊田商事の話は出てこない。しかし、米国当局は知っている。暗殺は麻薬がらみ。自殺は腐敗の証拠隠し。越境犯罪に国家の規模は関係ない。逆に小さな国の方がやりやすのかもしれない。

 

<追記その4>

神戸大学のサイトにパラオの大統領暗殺の詳細がある。日本のヤクザの話がチラッと出て来るが豊田商事の話はない。一体武器をパラオに持ち込もうとしていたのは誰だろう?共産党だよね。反核だから。でもアメリカ人とある。

http://www2.kobe-u.ac.jp/~alexroni/TR/No.13%207.7/Belau%20Trust%20Betrayed.pdf