やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

インターネットの父、村井純氏が知らない太平洋のサイバーセキュリティ

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学会発表用パワポの一枚。1万ワードの論文を15分にまとめる作業の大詰めです。

めずらしく日本人が太平洋の情報通信に関して記事を書いていたので読みながら「よく勉強しているけど何もわかっちゃあいねえな」と思い執筆者を確認したら日本のインターネットの父、村井純氏であった。

90年代の村井氏およびその周辺の動きは知っている。会津さんアダムピーク氏らともコンタクトがあったが彼らは太平洋の情報通信に関しては何もしてこなかったし、何も知らないのである。ここは太平洋の島々の情報通信改革をやってきたのは私なので自信を持って言えます。1997年第一回島サミットの目玉事業となったUSPNetをODA案件にしたのも私です。一人でやりました。2つ目の修論と一つ目の博論はそのことを扱ったので、現場経験だけではなく学術的議論もしてきた。

2008年から海洋問題にのめり込み、通信の現場からは離れたがミクロネシアの通信制度改革を促し、各国政府の要請を受けアドバイスしてきた。その結果が一つ目の海底通信ケーブルの敷設で、メナド、パラオ、ヤップをつなぎ太平洋横断するSEA-US ケーブルである。

英国マンチェスター大学のRichard Heeks教授が促してくれて今度学会で発表することになった。この2ヶ月ほど論文を書き、発表用のパワポをまとめている。開発のための情報通信が、中国のサイバー犯罪にどのように展開していくかを議論した。日本語にもしてどこかに発表したい。とにかく村井純氏も知らないのだ。太平洋で展開されているサイバー犯罪の実態を・・

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現場経験を学術議論に、すなわち論理構築していくのは大変ですが面白い