やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

パラオ海洋ガバナンス:大統領怒る叱る Palau Ocean Governance: President Angry Scold

Whipps scolds media for its one-sided coverage of his Blue Prosperity Plan. - Island Times

I would like to write for a while under the title "Palau Ocean Governance."

I have been preoccupied with the Solomon Islands for the past few months, but in parallel, the Palau matter is being moved even more radically.

I have been struggling for the past week or more to figure out where and how to begin to write about it.

First, I would like to introduce an article on the subject, in which President Whipps scolded the media for its biased coverage during the International Oceans Conference held in the country in April. I also checked the presidential press conference that was the source of this article, and he was really angry.

He said, "Our guests from abroad, who came to support Palau's maritime policy, must have wondered why there were counter-demonstrations in the country. Because of biased media coverage!"

Why on earth was he angry? The story is so complex that if you can understand it, you can understand Palau ocean governance. I have been involved in this project since 2008, so I saw it as a sigh of relief.

Briefly, during the previous Remengesau administration, the Palauan government legislated a regime that is questionable even to UNCLOS, which banned commercial fishing in 80% (initially 100%) of the Palauan EEZ. This was supported by Yohei Sasakawa, who is ignorant of marine issues, with the help of huge funds. I have seen the whole picture, both sides of the coin, before my very eyes. The confusion caused by this folly did not only affect Okinawan fishermen operating in Palau. It has also had a negative impact on Palau's fisheries resources. Maybe even the world's ocean governance.

The new Whips administration, in consultation with stakeholders, recently announced a new marine governance policy that would open 70% of the EEZ to commercial fishing. This is based on scientific research. And it aims for 100% EEZ management.

Marine protected areas established by the previous administration lacked EEZ management. On the other hand, the money collection system was solid under the beautiful name of marine protected area. Chinese tourists started coming in at nearly 10,000 per month before COVID, so a system was set up to collect marine protection and environmental taxes from them. It is a formless marine protected area that relies on tourists.

The Whips administration's new ocean governance proposal is from protection to production. This is a policy that is only possible with Ambassador Karasawa, a dispatched form Ministry of Agriculture, Forestry, and Fisheries (MAFF) official, at the helm.

 

 

「パラオ海洋ガバナンス」というタイトルでしばらく書いていきたい。この件は現在の当方のポジションの一つ、パラオ国家安全保障局海洋安全保障アドバイザーとして、またそれ以前14年前から関わってきた、明確に言うと「動かしてきた」現場の話である。

ここ数ヶ月はソロモン諸島に気を取られていたが、並行してパラオの件は業務として、さらに過激に動いている、動かしている。

 

どこからどのように書き出すべきか、ここ1週間以上悩んでいた。

最初はウィップス大統領が4月に同国で開催された国際海洋会議でメディアの偏った報道を叱りつけた、というテーマの記事を紹介したい。この記事の情報源となった大統領記者会見も確認したが、本当に怒っていた。

「海外から来た客人達は、パラオの海洋政策を応援しに来たのに、なぜ反対デモが国内で行われているの、と疑問に思われたではないか?メディアの偏った報道のせいで!」

いったいなぜ怒ったのか?これが理解できるとパラオ海洋ガバナンスが理解できるほど複雑な話である。私は2008年から関わっているので溜飲を下げる思いで拝見した。

簡単に書くと、前政権のレメンゲサウ時代にパラオEEZの80%(当初は100%)を商業漁業禁止にするという UNCLOSにも疑義のある制度を法案化した。これを金の力で支援したのが海洋問題に無知な笹川陽平である。その裏表全てを私は目の前で見てきたのだ。この愚行が招いた混乱はパラオで操業する沖縄の漁師さん達だけに影響を与えたのではない。パラオの漁業資源にも悪影響を与えた。多分世界の海洋ガバナンスにもだ。

ウィップス新政権は関係者との協議を重ね、新たな海洋ガバナンス政策を最近発表。70%のEEZを商業漁業に解放する政策だ。科学調査に基づいて、である。そして100%のEEZ管理を目指す。

前政権が策定した海洋保護区はEEZ管理が不在であった。他方海洋保護区の美名の下に集金システムはしっかりしていた。コロナ前で中国人観光客が毎月1万近く入って来るようになったので彼らから海洋保護、環境税を取るシステムを作ったのだ。観光客頼みの形のない海洋保護区だ。

ウィップス政権が提案している新しい海洋ガバナンスはfrom protecition to production 守りから生産へ、である。農林水産省出身の柄澤大使が側にいるからこその政策であろう。

 

以下機械訳

ウィップス氏、「青い繁栄計画」の一方的な報道でメディアを叱責。

by アイランドタイムズ
2022年4月22日

スランゲル・ウィップス・ジュニア大統領は、火曜日、メディアのメンバーを叱り、政府のブループロスパリティプランとアワオーシャン会議について、もっとうまく報道することができると主張しました。

大統領は、メディアが「プラン」の目標を強調する代わりに、「#SavemySanctuary」キャンペーンに報道を集中させたと述べました。

「この場をお借りして、いつも一緒に取材してくださるメディアの方々に感謝するとともに、メディアの方々の良い仕事ぶりにも、時には全体像をお伝えするべきだと思います。この1週間、私たちはデモ隊やその他の問題について報道し、会議のことは忘れていたようです」とウィップス氏。

大統領は、メディアが問題の一方にのみ焦点を当て、「それが生み出すノイズ」に焦点を当て、計画の目標の全体像を描こうとしなかったと述べた。

さらに大統領は、メディアのメンバーに対して、"全体像を伝える "という責任を講義した。 

"全体像を出さないと、混乱を招くからだ。私たちは魚を狙っているのに、あなた方が魚を追い払ってしまうから、魚が捕れないというようなものだ。お互いに助け合わなければならないのです」。

ウィップス氏は、メディアに対して、政府と同じメッセージと目標を伝えるために協力するよう促した。

しかし、ウィップス大統領の「青い繁栄計画」は、メディアや国民に公式に発表されたものではない。第7回Our Ocean Conferenceの1週間前に行われたWhipps大統領の帰国記者会見で言及されたものである。

ウィップス大統領はその記者会見で、「パラオの青い繁栄計画」と改称された「青い経済事業計画」の資金調達のために、計画を売り込むために米国のパートナーに会いに行ったことを明らかにした。

昨日の共和国国務演説(SORA)でウィップス氏は、パラオの青の繁栄計画は、「持続可能な海洋型経済を実現するための革新的アプローチ」であると述べました。

この計画は、パラオのEEZのかなりの部分が閉鎖されたことで失われた収入を補うものであり、現在のPNMS構想よりもバランスのとれた海洋管理のアプローチであると述べました。

「過去7年間、パラオは多くの教訓を学びました。パラオは世界と地域のリーダーとして、海洋の保護と人と自然の両方に利益をもたらす持続可能な生産の適切なバランスをこれまで以上に訴えています」と、ウィップス氏は演説で述べました。

また、現在のPNMSについて話し合いを始めた代議員会に謝辞を述べました。

代議員会の提案、具体的には下院法案11-30-2Sは、オンライン請願とPNMS再開計画阻止の抗議活動の対象でした。

この法案は、パラオのEEZの50%を外国船団に開放することを提案していた。

 ウィップス氏は議員を賞賛する一方で、抗議行動は「われらの海洋」会議に出席している多くの高官を混乱させたとして、火曜日に抗議者を戒めた。

「現在進行中の会議があり、私たちは外国から来た人たちに対して抗議を行なっているのです。しかし、デモは私たちパラオ人のために行われるべきで、なぜ外国人に抗議しているのでしょうか?

「この外国人たちは、私たちを助けるという目的でやってきて、直前まで私や大臣に、この人たちは私たちの計画に協力することに懸念を持っている、彼らは今、会議の外で何が起こっているのかと混乱しているのだ、という言葉が返ってきたのです。あなたの国では何が起こっているのですか」と付け加えた。

ウィップス大統領は、第7回「われらの海洋」会議の開会式での歓迎スピーチで、「この会議の端々で起きているデモは、パラオの健全な民主主義を反映しています。 私たちは、言論の自由とアイデアの多様性を信じています。健全で堅実な議論に対して、常にオープンであるべきだと考えています。"