ツイッター、スペースでも話しました。
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アーダーン首相のバイデンとの会談内容を取り上げる前に、彼女がNATOに出席することが話題になっていたので、それに関する記事を取り上げたい。
Much Ado About Nato As Ardern Attends Summit | Newsroom
この記事では、ウクライナ以降、アーダーンが地政学的動きを頻繁に語り始めた事を指摘する。それが日本、米国への訪問にもつながっているのだろう。なお、ニュージーランド首相がNATOに招待されたの初めて、とあるがそれは間違っている。2007年ヘレン・クラークがアフガニスタンの問題を議論するためにNATO本部を訪問している。
NATO - News: Visit to NATO by the Prime Minister of New Zealand, 03-Oct.-2007
チャタムハウスでアーダーンが述べたように、ウクライナ問題はニュージーランド、太平洋に直結しているのである。そしてアオテアロアは小国ながら英国とNATOを通してウクライナ軍を支援しているのだ。
駐ニュージーランド欧州連合大使のニーナ・オーバーマイヤーは、この招待状は、アルダーン政府がロシアの戦争に立ち向かうためにこれまで果たしてきた役割を反映しているとニュースルームに語った。
Nina Obermaier, the European Union’s ambassador to New Zealand, tells Newsroom the invitation reflects the role Ardern’s Government has played to date in standing up against Russia’s war.
ルワンダで開催された英連邦会議を欠席し(外務大臣が参加している)NATOに参加したことを緑の党の議員は「ニュージーランドの非核的地位と独立した外交政策を損なうだろうと主張した。」
これに対し ビクトリア大学ウェリントンの戦略研究教授ロバート・エイソンの指摘を紹介。2007年ヘレン・クラークがNATO本部を訪ねた理由でもある。
「ニュージーランドとNATOとの関係は一晩では現れていない。
ニュージーランドは2001年にNATO主導の国際安全保障支援部隊のアフガニスタンへのミッションに参加し、2012年にジョン・キーは組織の事務総長アンダース・フォー・ラスムッセンと「パートナーシップ協力協定」に署名した。」
”New Zealand’s ties to Nato haven’t appeared overnight, ...
New Zealand took part in the Nato-led International Security Assistance Force’s mission to Afghanistan in 2001, while in 2012 John Key signed a “partnership cooperation accord” with the organisation’s secretary general Anders Fogh Rasmussen."
エイソン教授はさらにNATOとニュージーランドの関係が以前からあった事を述べる。
「NATOとニュージーランドが突然お互いを発見したわけではなく、ロシアのウクライナ侵攻がアフガニスタンのコミットメントのある時点で持っていたものに対して新しい目的を提供したということです」
“It’s not like Nato and New Zealand have suddenly discovered each other – it’s more that Russia’s invasion of Ukraine has provided a new purpose for what had at one point with the Afghanistan commitment become quite a close partnership,”
次回取り上げたいアーダーン首相、米国訪問に関してもエイソン教授は、「ますます不安定な国際環境の結果として、その関係の温暖化は一晩ではなく何年もにわたって起こった」と言う。これは太平洋の安全保障を15年現場で、机上でフォローしてきた自分にはよくわかる。しかしアオテアロアを動かしたのはチャタムハウスでアーダーンが述べたように中国の安全保障の規範と規則を強行に変えようとする、具体的な動きであろう。
さらにエイソン教授は、アーダーンのNATO訪問は、シャングリラダイアログで力強いスピーチをした岸田総理が日韓豪NZの4者会議を提案した事にもある、と述べる。岸田首相のシャングリラスピーチにニュージーランドは出てこないが「インド太平洋」という枠組みはニュージーランドとNATOをさらに近づける結果となったのかもしれない。
岸田シャングリラスピーチは私が2008年から現場で動かしてきた海洋安全保障事業の成果の一つである。高慢と笑うなかれ。ここまでくるのは本当に命懸けであった。多くの犠牲を払ってきた結果である。
令和4年6月10日 シャングリラ・ダイアローグ(アジア安全保障会議)における岸田総理基調講演 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸ホームページ