やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

アオテアロアの外交安保政策5ーキウィとインテリジェンス

スペースでも話しました。 https://twitter.com/i/spaces/1dRKZllBdbVJB?s=20

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4月アーダーン首相が来日していた事を知っていたが、まさか岸田首相と26項目にもわたる、経済よりも安全保障・防衛、得に機密情報保護協定締結に重きをおいた共同声明を出していたのは気が付かなかった。あれから2月以上たった今初めて知ってショックを受けている。

しかし「あ、またキウィとチーズを売りにきたのね」と私が誤解した原因はある。この「荒城の月」に合わせて踊ったキウィダンスがあまりにもシュールなので話題をさらったのだ。

このアーダーン同行取材記者のCooke氏のツイッターは4万回以上にリツート、5千回以上の引用リツート、そして17万近いいいね、がされている。まさかホストの日本政府のアレンジか、と一瞬目の前が暗くなったが、Zespriというニュージーランドのキウィ会社のアレンジであった。しかし、誰が荒城の月を選んだのか。

Cooke氏は下記の非常に興味深い記事を書いているのに、3回リツート、15回引用リツート、そして43のイイねしかない。アーダーン首相、日本の前にシンガポールを訪問したが目立った動きはなく記事ならなかったのだそうだが、日本は180度今までの関係を変えることになる。それは中国市場一辺倒のニュージーランドが変わるということだ。

日・ニュージーランド首脳会談|外務省

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100334888.pdf

8つのテーマに26項目にわたる首脳共同声明が発表されていた。

戦略的協力パートナーシップの強化(5項目)

安全保障・防衛協力(3項目)

経済関係及びリコネクション(3項目)

インド太平洋とその先(6項目)

自由貿易のアーキテクチャ(6項目)

気候及び持続可能性(1項目)

国際保健(1項目)

核軍縮及び核不拡散(1項目)

肝心のインテリジェンス、機密情報に関しては4項目にある。

日本及びニュージーランドは、インド太平洋地域の平和と安全を推し進め、守るた めの重要なパートナーである。両首脳は、戦略的協力パートナーシップの更なる深化 の重要性を確認し、両国間の情報共有の強化に向けたコミットメントを共有した。こ の文脈で、両首脳は、両政府間で交換される機密情報を相互に保護するための法的枠 組みを提供し、このような機密情報のより切れ目のない共有を可能にするための協定 について交渉を開始することを決定した。

ニュージーランドは移民、市場と開かれた国であり、中国の浸透が凄まじい。中共マフィアも入っている。ニュージーランドの市民権を得た中国人が豪州でカジノ犯罪に加担している。日本の犯罪組織や、サイバー犯罪も行われているかもしれない。ファイブアイズに入っていない日本がニュージーランドと機密情報を共有する意味を色々と考えてしまう。

 

さて、キウィダンスだが、このキウィは酸味を抑えたキウィゴールドという品種がニュージーランドで開発されており、使用量を払って日本でも栽培されている。しかし中国では違法に栽培がされている事が問題になっている。その全貌を把握することは不可能だ。なのでキウィダンスはインテリジェンスと関係ないが経済安全保障上では関係がある。

Zespri growers vote down plan to fight illegal China kiwifruit | RNZ News

もう一点余計なことを書くとこのキウィ、中国原産である。1904年、中国のミッションスクールを訪問していたワンガヌイ女子大学のメアリー・イザベル・フレーザー校長がニュージーランドに種を持ち込んだのが始まり。