やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

高松宮と安倍総理が見守る:パラオ日本海軍墓地清掃・慰霊

私が2008年に一人で立ち上げたミクロネシア海洋安全保障事業は、悲しいことに日本財団と国交省の利権事業に成り下がってしまいました。ところが安倍政権のインド太平洋構想と海洋安全保障を結びつけるきっかけを、2017年に島嶼議連/海洋議連の古屋圭司議員、衛藤晟一議員らからいただいたのです。安倍政権時代の薗浦健太郎安全保障担当首相補佐官が、さらに実行の一歩を踏み出してくださいました。

日本の海上保安庁の利権となってしまったパラオ海洋法執行部局ーDivision of Marine Law Enforcemen(これを外務省と防衛省は【海上保安局】としているが悪意のある訳である)に日本海上自衛隊が入ることとなったのは2018年の第8回島サミットで海洋安全保障とインド太平洋が議案に入ったからです。これは私の提言でしたが、それを受け入れてくれたのは安倍政権でした。

詳細は書きませんが、その後、米軍、日本防衛省等々の関係者から協力依頼があり太平洋情報を継続して教授してきたので動いていることは把握していました。

なので、7月11日からパラオに入っている護衛艦きりさめは安倍総理と私の(ここはいつもなら控える点ですが、敢えて書かせていただきます)成果なのです。

そのきりさめの隊員がさっそくパラオ、コロールにある海軍墓地の清掃と慰霊を行いました。これもパラオの私の友人と私のアレンジです。もう「余計なことをしやがって」というハラスメントおじさん・おばさんがいないのでここも思いっきり書かせていただきます。

この海軍墓地には日本軍人だけではなく、日本人の血を引くパラオの人々、特に日本人としてのアイデンティティを強く持つ人々が眠っています。それだけではなく白豪主義で追い出されたオーストラリア木曜島の白蝶貝のダイバーたちが日本統治領であったパラオに流れてきて、眠っている場所でもあり、日本人とパラオを結ぶ歴史なのです。

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日本統治時代、1928年にパラオを訪ねた高松宮来島記念碑が1999年にナガラド州に再建されました。安倍総理の訃報に、ナガラド州の皆さんが献花をしてくださいました。高松宮碑に安倍総理への献花?と一瞬疑問に思いましたが、帝国海軍軍人であった高松宮は護衛艦きりさめのパラオ訪問を喜んでいただいているに違いなく、安倍総理と共に天国から見守っていただいているように、思います。

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