やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

再び「やしの実大学」in与那国(1)

与那国、比川浜を臨む石垣繁先生、第一回やしの実大学・八重山実行委員長

 

90年代に私が八重山諸島のやや左翼グループの協力を得て開催してきた「やしの実大学」を与那国で再開した。主催はインド太平洋研究会である。2017年に私が議連勉強会に呼ばれ、安倍政権のインド太平洋構想に海洋安全保障とオースロネシア語族のインド太平洋拡散の話を盛り込んだことがきっかけで立ち上げたグループである。

2023年1月、私が石垣・与那国を訪ねた際、ミサイル配備や台湾有事を中心とした、すなわち肝心の島の人々の意志を無視した安全保障が進められていることに唖然とした。私はパラオ国家安全保障局ジェニファー・アンソン調整官のアドバイザーとして安全保障戦略作成にも関わった経験から、安全保障とはまずは「人」であること。そして島に住む人々の歴史・文化・価値観を重視することが最優先であることを強く認識している。それが国の専権事項などという石垣と与那国の人権を無視する言葉を国会議員が平気で述べていることに唖然とした。日本はパラオより野蛮で遅れた国である。

今回の「やしの実大学」は八重山諸島アドバイザリーメンバーの提案を受け、政治的内容は避け、オーストロネシア語族のインド太平洋の拡散と与那国、八重山諸島の関連をテーマとした。国境も国家もない数千年前の民族の海洋秩序構築について、だ。

安倍総理はオーストロネシア語族の話を相当気に入ったらしく、2018年5月に開催された第8回島サミットだけでなく、2018年9月の国連総会の演説でも述べている。(しかし正確に理解していない)

今回の「やしの実大学」1回目は台湾出身の洪曉純教授(オーストラリア国立大学)をお招きしご講演いただくこととした。予算がないので、オーストラリアから日本までの旅費として早川財団から10万円だけ出させていただいた。洪教授は一部自己負担を了解いただき、来日いただいたのである。

与那国と言いながら、大阪の民博をスタートし、石垣、与那国、鹿児島、種子島という究極のアイランドホッピングとなった。このブログとツイッターSpaceで報告させていただきたい。

 

ちなみに早川財団は100万円ほどカードローンでカバーしている状態なのでご寄付をいただければ幸いです。