やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

国連大学のビューティーサロン

国連大学のビューティーサロン 「ビューティーサロンみたいでしょ?」  

国連大学メディアスタジオ、ディレクターのブレンダン・バレット博士は笑う。  

おしゃれな青山にあるガラス張りの一角は、そこが国連大学と知らなければ本当にビューティーサロンかも、と思うような場所だ。  

バレット博士とは10年近い付き合いになる。今回久々に訪ねた。  

この小さなスタジオからサモア、ハワイ、タイ、インド、インドネシアの各大学、そして日本は慶応、早稲田、岡山、琉球大学を結んだ遠隔教育、Asia Pacific Initiativeが継続して実施されている。授業は修士レベルで「環境、災害管理、人道支援」等がテーマ。    

実はこの遠隔授業、笹川平和財団事業の「期待していなかった成果」なのである。  

笹川平和財団は1993年から2003年、106,334,897 円を支出し、ロックフェラー財団が進めるLEAD ― Leadership for Environment and Developmentの日本支部設置に努力した。  しかし、事務局運営の継続性が望めないこと等から、LEAD Japanは現在存在しない。  2002年、この離陸しそうにない事業をどうにか太平洋の遠隔教育につなげられないか、という上司の相談を受け、LEADジャパン責任者とハワイ大学をつないだ結果、上記の遠隔教育システムができあがり、今も継続拡大しているのである。

しかも各大学の経常経費で賄うので外部資金は「0円」である。  1

億円は無駄にはなっていない。ビューティフル!(おみごと!)  次回はバレット博士の一押し事業Our World 2.0を御紹介したい。