やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

下級武士の天上がり、天下り

「下級武士の天上がり、天下り

 南半球は初夏である。

 南極にも近く、日本の小樽と同緯度の町は、短い夏を思いっきりエンジョイしようと、週末はバーベキューパーティがハシゴとなる。

 大学町なのでアカデミックが多い。

 話もアカデミック、というかバカ話ではすまない。

 世界的な気候変動の専門家、Prof. John Chappellと親しく話をする機会を得た。

 お嬢さんが日本人に嫁ぎ、ご自身も日本滞在経験があり、日本に関心が高い。

「RIeko、ボクが日本の政治について全く無知であることを許して欲しいのだが、政治とビジネスは緊密な関係にあるのだろうか?」

 世界的なアカデミックが自分を「無知」と素直に言った時の表情は神々しい。

 こちらは冷汗をかきながら、鳩山前首相の母親が石橋家で世界のブリジストンである話などをしてごまかした。

 家に帰ってからWikipediaで調べたら面白い事実を知った。

 昔、侍の世界は下級武士の家に生まれたら下級武士のままである。

 出世をするには上級の家に養子にもらわれる方法があった。

 石橋徳次郎は久留米藩下級武士で、商家石橋家に天下った。

 團琢磨は福岡藩の下級武士で勘定奉行團家に天上がった。

 鳩山重右衛門博房は勝山藩、鳩山家の婿養子のようだ。天上がり。

 石橋家は富を得て、男爵團伊能の娘を嫁にもらい、自分の娘を鳩山家に嫁がせた。

 この3ファミリーが戦前戦後、成し遂げてきたことを日本語で説明するのも大変だが、英語でなんて到底無理だ。

 しかし、明治維新を迎える侍社会の底辺にいた下級武士達が今の日本を作ってきた一面がある、という説明ができるかもしれない。

 Prof. John Chappellから引き続き、在日米軍基地のことも尋ねられた。

 次回は日本の米軍基地の話。

(文責:早川理恵子)