やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

キャンベル国務次官補のアイランドホッピング その9 ー ミクロネシア連邦編

f:id:yashinominews:20200603074913j:plain

(写真はFSM Information Servicesのプレスリリースより)

 

キャンベル国務次官補のアイランドホッピング。

米国と自由連合協定を締結するミクロネシア3国は勿論全部訪問。

7月1日にはミクロネシア連邦を訪ねた。

モリ大統領は、「我が国民は米国で学び、働き、また死を迎えることもある。」と自由連合協定を締結する米国との特別な関係を強調した。さらに自由連合協定による、社会インフラ整備についてさまざまな縛があるが、進歩もあることを述べた。

モリ大統領は、米国議会がクリントン長官に提出したレターを暗に示し、ミクロネシア連邦からの移民が米国及び米領ににおいてその影響を最小限と留めるよう、副大統領が主導するタスクフォースで検討中であることを述べた。

またモリ大統領は、米国国務省が2011年の各国の人身売買の状況をランク付けした報告書では、ミクロネシア連邦が段階3にランク付けされた事に関連し、保留になっているPalermo Protocolを承認するよう議会に働きかけると共に関連する法律や政策を整備する事を述べた。*

キャンベル国務次官補は、ミクロネシア連邦市民が米軍に従事し尊い命が失われている事、同国が常に国連等で米国を支持している事に深い感謝の念を述べた。

自由連合協定の支援策については、米国政府の関係各省の協力を強化し、モニタリングに務め、最大の効果が得られるよう努力する事を述べた。

キャンベル国務次官補は、今回の訪問は米国政府の太平洋島嶼国に対する新しい試みであり、今後も太平洋地域の防衛、外交、社会経済開発についてより頻繁、統括的に対応して行くことを述べた。

米国代表団の一人、USIADのビスワル女史は、ミクロネシア連邦は特に自然災害に脆弱であり、気候変動対策も必要である事から自由連合協定の支援がこれらの分野にも応用できるように、と述べた。

米国代表団のGeneral Simcock IIは母なる自然からの脅威に同情すると共に、広大なEEZにおける気候変動、海上監視とモニタリングは米国がエンゲージし支援していかなければならない分野である事を述べた。

 

<参照プレスリリース>

US Assistant Secretary of State for East Asia and Pacific Affairs Kurt M. Campbell visits FSM


Press Release #0711-02
Palikir, Pohnpei – FSM Information Services 
July 05, 2011

 

* 米国務省が発表している世界の人身売買に関する報告書。段階3は、国家が最低限の対策を取っておらず、米国の支援金をストップする可能性もある、という最低の評価。他に段階3にある国はミャンマー、北朝鮮、パプアニューギニア。日本は段階2。

 

Trafficking in Persons Report 2011