やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

『日米の戦略対話が始まった』ーその1

 このブログでキャンベル国務次官補のアイランドホッピングをまとめたものを笹川会長が読んでくださってたらしい。それだけではない。その意味について高い関心を持たれているので、メモをまとめろ、と羽生会長から指示をいただいた。

 

 キャンベル国務次官補の島嶼国訪問は笹川太平洋島嶼国基金だけでなく、日本の対太平洋島嶼国政策にも重要な意味を持つ、と考えていたのでメモは数分でまとめられた。

ポイントは下記の3点だ。

 

1.日本財団と笹川平和財団が進めるミクロネシア海上保安案件に大きな意味がある。なぜなら彼らの訪問の主要テーマの一つが海洋安全保障であり、今それをやっているのは日本では我々だけだからだ。

2.日本政府の対太平洋島嶼国支援に太平洋の「海を護る」、というコンセプトは今までにない。逆に日本は原発を巡り核の廃棄(未遂)、海上輸送、そして今回の事故による海洋汚染と負担をかけてきている。来年開催を予定している太平洋島サミットへ向け、提言をすべき機会である。

3.太平洋島嶼国を巡って日米が非軍事分野で協力関係を強化することは新たな日米同盟の方向を示す可能性がある。キャンベル国務次官補の島嶼国訪問はそのきっかけになる。

 

 その後笹川会長がワシントンDCで開催される日米同盟に関する会議に参加されることは全く知らなかった。なので、笹川会長のブログに掲載されたオープニングリマークスを読んだ時はびっくりした。上記の3点目を取り上げていただいているのだ。

 

 しかも、笹川会長はジョセフ・ナイ博士にも会っている。ナイ氏が笹川会長のリマークスにどんな反応を示したか是非知りたい。なぜか。ミクロネシアの海上保安事業は羽生会長のイニシアチブで開始したものであるが、その土台は笹川太平洋島嶼国基金の2代目運営委員長を務められた渡辺昭夫先生が作られたものであるからである。

 そして渡辺昭夫、ジョセフ・ナイ、と聞けば「樋口レポート」対「ナイレポート」であり、日米の戦略対話が始まるきっかけである。

 

 今、海洋政策財団会長であり、上記会議の主催でもある秋山昌廣氏著の『日米の戦略対話が始まった』を読んでいる。次回はこれをまとめたい。