やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

沖縄での講演会ー島サミットの片鱗

沖縄での講演会ー島サミットの片鱗

 

 このブログで太平洋の島情報を発信させていただいているおかげで、今年は日本の大学生の教科書執筆の機会をいただいた。

 ミネルヴァ書房からシリーズで出版されている「世界政治叢書」「ラテンアメリカ、オセアニア編」だ。急な依頼で3週間で書いて欲しい、という。幸いこのブログのおかげで既に書いてあるものを継ぎ接ぎしながら完成することができた。

www.minervashobo.co.jp

 

 その草稿を島嶼経済専門の大城肇琉球大学副学長に見ていただいた。今までにない視点、という評価をいただき、当方の日本滞在中に琉球大学でセミナーを開催したいというお申し出をいただいた。

 当初、学内の10名程度が参加、という話だったのに、急に60名程度の学生相手に、という話になった。結局那覇の国際通りにあるテンブスホールで200名の聴衆を相手に話をする事になってしまい、足が震えだしている。私の次の講演者は民博の須藤館長と伺い、さらに血の気が引いて来た。

 

 講演のテーマは『移動する太平洋の島の人々』とした。

 人類が6万年前にアフリカ大陸を出立して1万年も経たない内に、今のパプアニューギニアまで移動してきた。当時は氷河期で海面が今よりも低く、東南アジアからオーストラリアの沿岸地域は陸続きだった。氷河期が終わる頃、今から約一万年前に世界最古の農業がパプアニューギニアで始まった。

 こんな話から始める予定で、クック諸島の人口の約3倍がニュージーランドに住んでいる話で終えたいと考えている。

 

 自分の講演の案内よりも、この講演会の主催者の事の方が重要である。

 主催は琉球大学沖縄国際研究所。2000年に沖縄で開催された第2回太平洋島サミットの成果なのである。

 サミット終了後、沖縄に太平洋島嶼研究の拠点を、ということで「アジア・太平洋島嶼研究センター」が設置された。しかし、音頭を取ったはずの外務省は何のフォローもして来なかった。外務省の外郭団体の島嶼研究者をこのセンターに置く案が沖縄側から却下されたから、とも聞く。

 事務局運営のスリム化を目的に2009年、学内にあったアメリカ研究センター、移民研究センターと統合された。

 久しぶりの沖縄訪問では、このセンターの最近の活動についてお話を聞く事も楽しみにしている。

 

国際沖縄研究所レクチャーシリーズ2011第6回

『移動する太平洋の島の人々』

日時:2012年1月10日 18時から19時半

場所:てんぶす那覇4階、テンブスホール

主催:琉球大学沖縄国際研究所「新しい島嶼学の創造」プロジェクト