やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ハワイのユニオンジャック

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 太平洋でユニオンジャックを掲げている国が結構ある。ユニオンジャックがなくても先日ウィリアム皇太子とキャリン妃が訪問したソロモン諸島のように英国女王を君主に迎えている独立国家もある。  その中で、米国ハワイ州がこのユニオンジャックを掲げているのだ。米国州の中でハワイだけである。  なんでユニオンジャックハワイ州旗にあるのか、ずーっと気になっていた。  とうとう、先月、ハワイ州ダニエル・アカカ議員の元スタッフからはっきりした「はっきりしない背景」の説明を伺う事ができた。  米国によって潰されたハワイ王朝の存在を示すためなのでそうである。そのハワイ王朝は英国の武器よって成立したのである。だからユニオンジャック。  ハワイが米領になったのが1898年。ハワイは州に格上げされる前は、人種差別の視点から州になる可能性がない「非編入領土」であった。(太平洋にある米領島嶼―「北西部条例」「インシュラケース」「グアノ島法」参照)  しかし、これに疑義を唱えるハワイの人も多いとか。ハワイ王朝は日本の皇室と違い歴史が浅い。たったの200年。200年前に殺され、支配された部族の子孫も今に生きており、ハワイ王朝の正当性、即ちユニオンジャックの正当性を疑問視する声もあるのだそうだ。  州旗の8つの横線は8つの主要な島と米国を意味する。オアフ、マウイ、ラナイ、カウアイ島、カホオラウィ、モロカイ島、ニイハウ、ビックアイランド。王朝成立前は夫々の島に酋長がいて互いに戦っていた。  ハワイ島首長、カメハメハ1世がイギリスから武器を得て、島々を次々に征服していったのである。ハワイ王朝ができたのが1810年。  1779年のバレンタインデーの日、ジェームズ・クック船長がこのハワイ島のケアラケクア湾で殺されてから(多分食べられた)30年後である。  崇徳天皇の祟りじゃないが、何となくこのユニオンジャックがクック船長の祟りのように見えてきた。ここに米国軍の60%がシフトするPACOMがある、というのもクック船長の祟り?イヤ御加護?