50近くで得た人との出会いは、10代20代30代とはまた違った、奥の深いものがあるように思う。
最近、外国の方から日本を学ぶ機会が多い。
学ぶというか、気づかせてもらう、と言った方がよいかもしれない。
米国、ワシントン大学のレベッカ•コープランド教授は宇野千代の研究者である。
宇野千代の研究で博士号を取られ、1992年にUniversity of Hawai'i Pressから"The Sound of the Wind: The Life and Works of Uno Chiyo" という本を出版されている。
宇野千代。
よく知っている名前であるがなぜか本を読んだ事はなかった。
米国人のコープランド教授がライフワークにしている宇野千代が急に気になりだした。
コープランド教授のアドバイスも得て、この2週間程で次の作品に目を通した。
『色ざんげ』
『薄墨の桜』
『八重山の雪』
『恋愛作法』
『生きる私、老いる私』
『風の音』
『生きて行く私』
『青山二郎の話』
語り口の小説は読みやすかった。
もっと読みたいが仕事の資料が待っているのでここで一旦止める事に。
有名だという『色ざんげ』はなぜか心に響かなかった。
泣きながら読んでしまったのが『八重山の雪』。後書きには本当にあった話だという。できればこれ英語にして、連合軍のみなさんに読んでほしい。(もう英訳されているかもしれませんが。)
『風の音』は、著者の家庭を題材にした小説であろう。まだ読んでいない『おはん』も同じような耐える女性が出てくるのではないか。駆け足ではなく、じっくり、しっとり読みたい作品だ。
意外にも『青山二郎の話』が面白かった。
青山二郎の生涯を著者がヒアリングして書いたものだが、小説を読んだような感覚が残った。青山二郎の名前は知っていたが、骨董好きのお金持ち、という印象であった。しかし、どうやら父を父とも呼ばない、もしくは呼べない、特殊な家庭にあったようだ。それでも青山二郎はお釈迦様のような、子供のような人徳を得て、人々を魅了した。
コープランド教授は『人形師天狗屋久吉』が好きだと言う。これは次の機会の楽しみにとっておきたい。
最後に、宇野千代のような生き方を同性としてどう捉えるか。
気持ちはわかるし、やってみたいけど、後の始末が大変そうである。
ジャスティン•ビーバーの追っかけで、止めておこう。