パラオ共和国、トミー・レメンゲサウ大統領の提言、全EEZの商業漁業禁止案。
ミクロネシアの海上保安事業の関係でこの提案にも深く関わる事となった。それを通して見えて来た一つの動きが、世界のビリオネラー。
ビリオネラーなんて自分の人生には関係ないと思っていたが、見てはいけないところまで見てしまったようである。
で、パラオの海を愛するビリオネラーは誰か?
PEW財団のハワード・ピュー。資金源は石油。
もう現在いらっしゃらないのでご本人がパラオの海に関心があるかどうか知る事はできない。(追記:現在のボードメンバーにピューファミリーが列挙されています)が、PEW財団はパラオのシャークサンクチャリーを提案し、今回のEEZ案を大々的に支援している。
それから今年の2月の国連でのパラオ大統領の宣言をお膳立てしたSustainable Oceans Alliance。この組織の基がGlobal Partnerships Forumで運営委員の筆頭にあのウォーレン・バフェットの孫ハワード・バフェットがいる。バフェット氏は言わずと知れた投資家。
そして、昨年パラオでドローンを飛ばして、張子の虎がバレた鉄鋼王のアンドリュ・フォレスト氏。
太平洋も魚の問題もそんな簡単な話でない事(ハイポリティックス)がわかって撤退したかもしれない。
まだまだいまっせー。
Ray Dalio氏。この度コンサベーション・インターナショナルと組んで"Global Tuna Initiative"を立ち上げた。こちらは投資家。総資産1兆円とかです。
<ビリオネラーの悩み>
ビリオネラーともなると、一般人が計り知れない悩みがあるようだ。
まずお友達がいない。お金は人を不幸にする。子供を弱くする。世間からお金持ちであるという事だけで批判的な目で見られる。
そして、年間数百億円とかの「税金」を払うようである。そんな税金を払った事がないので理解できないが、パラオ国家が10年位やっていける国家予算に等しい。
自分の払った税金で世の中が良くなるのであれば、納得できるだろうが、上記のビリオネラーが税金を払っているであろう米豪政府とも国家運営は課題山積み、悪化の道。
で、それだけ税金を払うのであれば、結果が見える、自分も納得できる事業にお金を回して、加えて税金を少しでも回避したい、と考えるようだ。
<ビリオネラーはケチ、は黄金律>
上のビリオネラーの一人とコンタクトする機会があったのだが、ほぼ毎日のように連絡をいただいた。ビリオネラーであればその財力にモノを言わせ、世界の超一流専門家を集め、万端の体制、と思いきや、そういう超一流は高いコンサルタント料を請求するらしく、一銭も要求しない当方にほぼ毎日質問してきたようだ。
ビリオネラーはケチ。これ、黄金律のようだ。
<ビリオネラーはいい加減>
結果、どうなるかというと、社会貢献事業はいい加減になる。
お金儲けには全霊のエネルギーを使うであろうビリオネラーは、そのフィランソロピー活動にはド素人の会計士を配置する。悪く言えば支援の中身より、お金がどう使われるかの方が大事。
ビリオネラーを相手にどれだけ説教垂れたかしれない。
「いいですか、日本財団は海洋問題を50年やってきているんです。笹川平和財団は太平洋島嶼国と25年の歴史があります。笹川良一氏はパプアニューギニアの独立支援したんです。ビリオネラーかなんか知らねえが、ド素人が金の力にもの言わせ、即興で解決しようなんざ、太平洋を甘く見るなよ。」(後半はディプロマチックに表現しましたが。)
<手玉に取られているのはどっち?>
並びいる世界のビリオネラーズから愛される太平洋の小さな島国パラオ。現実の様子を見るとビリオネラーの無責任さ、無知さに翻弄されているようにも見えた。
しかし、島嶼国、そんな柔ではない。大国米ソを相手に外交を展開し、マフィア、テロリスト、金融マフィア、アラブの王様も「主権」を武器に手玉に取ってきたのだ。ビリオネラーなんて手玉に取るのはお手の物、かもしれない。