やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

安倍首相の太平洋訪問に向けて(10)ウェワック

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安倍総理の太平洋訪問がいよいよ迫ってきた。 パプアニューギニアでは、北部のウェワックに入る事が予定されており、今ウェワックの町は大急ぎで町の清掃が行われているとのニュースである。 "Wewak festival venue works underway" http://www.pngloop.com/2014/06/03/wewak-festival-venue-works-underway/ ウェワックは、このブログに何度も書いているが、国父ソマレ閣下の故郷であり、現在ソマレ閣下は東セピック州の知事を務めていらっしゃる。ここに日本軍最大の航空基地があった。 ソマレ少年が始めて教育を受けたのは日本軍が設置した学校であった。ここでソマレ少年は柴田中尉と出会い、独立の精神を学ぶ。それから20数年後、慰霊に訪れた笹川良一名誉会長に出会った事がパプアニューギニアの独立を左右した。 先々週のソマレ閣下からいただいた笹川陽平会長への電話の取り次ぎ事件。その興奮はまだ冷めやらない。パプアニューギニア独立支援の話は私ごときが触れたり話したりすべき件ではない、とずっと思っていた。が、24年も太平洋の島の仕事をさせていただき、笹川陽平会長も「陰徳の美」はよろしくない、と言っていらっしゃるので、最近積極的に言ったり、書いたりしている。 で、言ったり書いたりしている内に、その重みが以前と全く違う姿で、目の前に表れて来るのである。 安倍総理パプアニューギニア訪問、パプアニューギニア以外のメディアは殆ど取り上げていないようなのだ。やっと昨日のDiplomatに記事が出ていた。 "The Three Pillars of Abe’s Oceania Tour" http://thediplomat.com/2014/06/the-three-pillars-of-abes-oceania-tour/ パプアニューギニア訪問は天然ガスの件が取り上げられている。日本のエネルギー安全保障上重要なテーマであるには違いないが、私はウェワック訪問の方が精神的なテーマで重要と考える。 笹川良一名誉会長がソマレ青年を支援したのは、傀儡政権を作るためでも、アメリカのリバタリアン不動産のような租税回避のためでもない。西洋諸国の植民地支配からアジア太平洋を独立させる支援は戦争が終わった後も続いていたのである。