マーシャル諸島のジャーナリスト、ギフ•ジョンソンが、島は沈まないという内容の記事を書いた。
“So far, most atolls winning the sea level rise battle”
http://pacificpolicy.org/2015/05/so-far-most-atolls-winning-the-sea-level-rise-battle/
多くの科学者の発表では沈まないどころか、環礁は大きくなっているのだそうである。よって壁を作る必要もないし、どこかに移動する必要もない、ということだ。
海面上昇の問題はいつから騒がれるようになったのか?
顕在化してきたのは2000年頃であった。
しかも太平洋の島の外で環境団体や科学者が騒いでおり、ギフ•ジョンソン記者が、そんな問題は島の中では全く語られていない、と言っていたのを覚えている。
それがマーシャル諸島、キリバス、ツバル等の環礁からなる島嶼国の政治リーダー達の外交カードになったのは2003年頃であろうか?日本でも藤原紀香さんがツバルの問題を取り上げていた。
環境団体が島のリーダーにアプローチして世界的アジェンダにした例が他にもある。鮫、マグロ等の漁業資源管理だ。
島が沈む!魚がいなくなる!
しかも先進国の大企業が排出するCO2のせいで!
日本や米の先進国の大企業による違法操業のせいで!
これで小島嶼国の政治リーダー達の声がやっと国際社会に届くのである。
これにより環境団体は食っていけるのである。
それじゃあ、島が沈まないのであれば放っておいていいの?
先進国の責任ではなく、そんなところに住んでいるあなたたちの問題でしょう?
— こういう意見は、島の仕事25年の中で、非公式だが結構聞く。
だから小島嶼国のリーダー達の気持ちはよくわかる、共感できる。
島が沈まなくても、先進国のせいでなくても、小島嶼国の抱える問題は深刻だ。
首都に急増する人口は脆弱な環礁の環境では受け入れられない。
離島を開発するキャパシティは小島嶼国にはない。
島が沈まなくても高潮をかぶれば農地は被害を受け、レンズ層の飲み水にも影響がでる。(昔、キリバスのトン大統領から直接お伺いしました)
米国の自由連合協定を締結するミクロネシア3国はまだいい。
キリバスはどこの国ともそのような協定を締結していない。ニュージーランドがかなりの数の移民を受け入れているはずだが、人口の集中問題は未解決ままだと思う。来週大統領に伺ってみたい。